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目黒区の高齢者・補聴器購入費助成事業について

目黒区の高齢者・補聴器購入費助成事業について

令和6年2月1日 発行

令和5年11月1日から目黒区でも難聴高齢者の補聴器購入費の助成事業が始まりました。この事業の趣旨をご紹介するとともに、難聴と認知症、そして補聴器についてご案内します。

わが国では2025年頃までに、65歳以上の高齢者人口は3,500万人を超え、医療や介護需要の急増が課題になっています。加齢による難聴も関連するひとつです。もちろん、加齢が原因でだれでも難聴になるとはいえません。ただ、年齢とともに増えてくることは事実です。70歳では約5割、80歳では約8割の人が難聴になるといわれています。

加齢性難聴は知らないうちに徐々に始まります。テレビの音が大きくなったり、聞き返しが多くなることで、本人より先に、周囲の人が気付くことも少なくありません。後にきこえのチェックリストがあります。お試しください。

なお、難聴は、耳あか、そして滲出性中耳炎などの耳の病気でも発症します。これらは治療で難聴が改善する可能性があります。きこえのことが気になったら、早めに耳鼻科を受診してください。

また難聴は、健康状態にさまざまに影響するという認識が広っています。2017年と2020年に、認知症の専門家が集まるランセット国際委員会が「認知症を予防できる要因のうち、難聴は最も重要な因子である。」と指摘し、注目を集めました。さらにWHOは、難聴は社会的孤立を招き、高齢期のうつ病などの発症リスクにもなり、フレイルにも陥いりやすくなると警鐘を鳴らしています。

この難聴の対応で重要な役割を果たすのが、補聴器です。補聴器の効果については多くの研究・報告が重ねられています。補聴器をつけるタイミングとしては少なくとも、「声が少し聞き取りにくい」ときからがよいでしょう。これは40デシベル以上の難聴に該当しています。

まず耳鼻科を受診し、難聴の検査・診断を受け、「認定補聴器技能者」がいる「認定補聴器販売店」で適切な補聴器を選んでください。補聴器は眼鏡のようにすぐに慣れてはっきり聞こえるようになるものではなく、3~6か月程度の調整・リハビリテーションが必要です。耳鼻科では補聴器に詳しい「補聴器相談医」も増えています。

本事業の概要

・対象:次の全てに該当するかた

〇 満65歳以上の区内在住者で、住民税非課税

〇 聴覚障害による身体障害者手帳の対象(高度難聴以上)とならない

〇 耳鼻咽喉科専門医から次の❶または❷の基準を満たす証明を受けた

❶ 両耳の聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満

❷ 助成対象者として補聴器装用の必要性を認められた

・助成上限額:助成上限額:50,000円

・助成対象:補聴器の本体費用(1人1回限り)

(注)補聴器は管理医療機器として認定された製品(集音器は対象外)で、認定補聴器専門店で購入する場合に限る。詳細・手順は目黒区ホームページ参照。

きこえのチェックリスト

ひとつでもあれば、耳鼻科にご相談ください。

□ 会話をしているときに聞き返すことがよくあるか

□ 相手の言った内容を聞きとれなかったとき、推測で言葉を判断することがあるか

□ 電子レンジの「チン」という音やドアのチャイムの音がきこえにくいと感じることがあるか

□ 家族にテレビやラジオの音量が大きいとよく言われる

□ 大勢の人がいる場所や周りがうるさい中での会話は、聞きたい人の声がききづらいと感じるか

□ きこえについて心配なこと・困りごとがあるか

(S・T記)

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