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HPVワクチン シルガード9について

HPVワクチン シルガード9について

令和5年12月1日 発行

子宮頸がんは子宮の出口(頸部)にできるがんです。日本では毎年約1万人が発症し、約2千900人の女性がこの病気で亡くなっています。子宮頸がんは検診で早期に発見し、適切な治療を行えばなおすことができます。

HPV(ヒトパピローマウイルス)の中でも16型や18型などの高リスク型のHPVによる感染が主な原因とされており、ワクチン接種により予防が可能な病気です。

これまで2価ワクチン、4価ワクチンが接種されてきました。2023年4月よ9価ワクチン、シルガード9が日本でも公費負担で接種できるようになりました。2価というのはHPVの型のうち高リスク型といわれる16型・18型、4価はこの2つに低リスク型(尖圭コンジローマの原因となる)の6型・11型を加えたものです。

9価は4価に加えて5種類の型を加えたものです。

世界保健機関(WHO)は、世界中で、①15歳までに90%の女性がHPVワクチンを接種し、②70%の女性が35歳と45歳で確実性の高い子宮頸がん検診を受け、③90%の子宮頸部病変を有する女性が適切にケアされる、という3つの目標を掲げています。そしてその目標を2030年までに達成できれば、将来的に子宮頸がんはがんの排除の基準とされる女性人口10万人あたり4人以下の罹患率に達するとしています。

日本において、①②はまだ実現できていないことから、広く国民への啓発活動をすすめています。

世界でも多くの国で定期接種を導入しており、その接種完遂率はメキシコやカナダ、イギリスなどで80%をこえており、女子だけでなく男子への接種を行っている国もあります。この調査の時点(2019年)での日本での接種完遂率は0.3%でした。

2022年度よりHPVワクチンの接種を勧める取り組み(積極的勧奨)を再開していますが、厚生労働省の調査では、この取り組みを「知らない」が最も高く41%、「知っている」が29%でした。

また、政府がHPVワクチンを公費で接種できる機会を提供していること(キャッチアップ接種)を「知らない」がもっとも高く40%、「知っている」が32%でした。

まだまだ必要な人に情報がいきわたっていない現状もあるため、今回みなさんにお知らせする機会をいただきました。

まずHPVワクチンの定期接種となる対象は小学校6年生~高校1年生相当の女子となります。特に中学以降となると学校や部活動などで忙しくなり、接種のタイミングを逃してしまう方もいらっしゃるようですので、余裕をもってご相談いただくとよいかと思います。

また、積極的勧奨をしていなかった期間に接種の対象となっていた方への接種(キャッチアップ接種)の対象者は1997年度生まれから2006年度生まれの女性、すなわち1997年4月2日から2007年4月1日生まれの女性です。

このキャッチアップ接種が公費で接種できるのは2025年3月末までとなっています。ワクチン接種をスケジュール通り(3回接種)に行った場合にかかる期間はおよそ6ヶ月です。公費で接種を完了することを考え逆算すると2024年9月末までに第一回目の接種を開始することになります。

定期接種およびキャッチアップ接種の費用についてはシルガード9を自費(すべて自己負担)で接種するとなると一人10万円くらいになるのですが、対象となる方はこの機会に接種すれば無料(公費負担)となります。

子宮頸がんを予防できるワクチンを自己負担なしで接種できる、素晴らしいチャンスを活かしていただければ幸いです。

もちろん、ワクチン接種そのものを迷われている方、副作用や接種の方法などで心配なことがある方もいらっしゃるかと思います。ぜひ遠慮なくかかりつけ医にご相談ください(産婦人科だけではなく、小児科や内科でも接種を行っております)。

また、接種を希望される場合も、施設により取り扱っているワクチンの種類が異なる場合がありますので、お問い合わせください。接種の対応が可能な施設は目黒区HPに掲載しています。

(N・Y記)

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