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帯状疱疹が予防できるようになりました

帯状疱疹が予防できるようになりました

平成30年2月1日 発行

帯状疱疹とは

帯状疱疹の原因は子供の頃に罹患した水ぼうそう(水痘)のウイルスです。

水痘ウイルスは水ぼうそうが治った後も体内に潜んでいるため、加齢やストレスなどで免疫力が低下した時に、帯状疱疹として皮膚に赤い発疹が現れ水ぶくれに変化していくといった皮膚症状で発症してきます。部分的に以前の水ぼうそうがぶり返してきたような状態ですが、多くの場合発疹は体の片側の胸や背中に出てきます。頭頸部や顔などにも出ることがあり、頭頸部に出た場合は重症化すると視力障碍や顔面神経麻痺の原因になることもあるので注意が必要です。

帯状疱疹後神経痛

ほとんどの場合、皮膚症状に加えて発疹のでている範囲やその周辺に、ヒリヒリ・ピリピリした痛みを伴うようになります。また、皮膚症状のでる前に、痛痒いような神経症状だけが先行してみられることも日常診療の中でしばしば経験されます。程度にもよりますが、その痛みをしゃく熱感、電気ショックのような痛み、あるいは刺すような痛みと表現される患者様もいる程です。さらにその痛みが数か月から最大で数年間という長い間持続してしまう帯状疱疹後神経痛に移行することがあるため、抗ウイルス剤による初期治療がとても重要になります。神経痛に移行した場合の治療には各種鎮痛剤が使用されますが、コントロールが難しいこともあり、専門のペインクリニックを受診しなければならないケースもみられます。

50歳以上に成人の帯状疱疹ワクチンが承認されました

帯状疱疹は、80歳までに3人に1人が経験することが推定されており、合併症である帯状疱疹後神経痛の罹患率は加齢とともに上昇します。さらに前述した神経障害や顔面神経麻痺のみならず、帯状疱疹は髄膜炎や脳炎のリスクにもなりえるため、帯状疱疹予防は重要視されていました。

最近、大人になってから水痘のワクチンを接種することで、帯状疱疹の発症率が低下するという報告もみられるようになり、50歳以上の方は帯状疱疹を予防する目的で水痘ワクチンを接種することが出来るようになりました。助成金制度などはなく全額自費で、効果の持続は約10年程度とされています。関心のある方は、一度かかりつけ医に相談されてみてはいかがでしょうか。

(Y・I記)

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