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更年期症候群

更年期について

平成26年12月1日 発行

閉経前後のホルモンが不安定になる時期を更年期といいます。
この期間中、女性の体の中では大きな変化が起こります。卵巣からのエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少し、月経が不規則となり、同時に体にさまざまな不調を感じることが多くなります。
卵巣から分泌されるエストロゲンは、閉経に向けて坂道を下るように直線的に低下して行くわけではなく、低下したりまた回復したりと極端な波を描きながら徐々に減少して行きます。
こういった、急激なホルモンの変化に加え、日常生活の中でのストレスなどが増悪因子となり、体の自律神経の調節機能が障害され、さまざまな不快症状を惹き起こします。

代表的な症状としては、発汗、のぼせ、めまい、動悸、頭痛、肩こり、倦怠感などの自律神経症状が中心ですが、精神的にもイライラ感、不安感、抑うつ、不眠、集中力の低下などの症状が見られることもあります。症状の程度は個人差があり、全く症状がない場合もあれば、日常生活や、仕事に支障をきたしてしまうほどのひどい症状になってしまうこともあります。

 

治療は、ホルモン補充療法が一般的ですが、現在は、肝臓への負担を軽減させるため、経皮吸収剤(張り薬や塗り薬)が主流となっており、子宮がん予防のための黄体ホルモンとセットで処方されます。

安定してエストロゲンが供給されることにより、前述したさまざまな不快症状は劇的に改善します。
また閉経後、女性の体内では代謝低下による体重増加、コレステロール値の上昇、骨密度の低下など目に見えない部分でもさまざまな変化が起こりますが、これらの変化に対しても、ホルモン補充療法は一定の予防効果を有します。
平均よりかなり早い年齢で閉経を迎えた方は、これら変化も同様に早い年齢から進行しますので、予防のためのホルモン補充療法が必要となることがあります。

投与方法は他にも、内服薬の選択肢もあり、現在では体質やライフスタイルに合わせて選択が可能です。ホルモン補充療法のリスクを気にされる方も多いと思いますが、現在では投与方法等も改善され、婦人科検診や乳がん検診を定期的に行うことによって、より安全に継続していくことができるようになっています。
またホルモン療法に抵抗を感じる方、体質、ご病気などでホルモン剤が使用できない方などは、対症療法で症状を緩和させることができます。
自律神経の働きを調節する薬や、安定剤、睡眠導入剤、漢方薬などが有効です。
同時に生活習慣として、ストレスや睡眠不足などは明らかな増悪因子となりますので、日常生活の中で心当たりがある部分をできるだけ改善することにより、症状は緩和されます。良質で充分な睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動などを心がけてみてください。

 

更年期の症状は非常に多岐にわたりますが、こういった症状の中に他の病気が隠れていることもあります。勝手に更年期症状と思い込んでしまうことは、他の大きな病気を見逃してしまうことになりかねません。
気になる症状がある場合は、一度きちんと受診の上検査されることをおすすめします。
目黒区には更年期症状の相談に乗ってくれる婦人科専門医が多数おりますので気軽にご相談いただければと思います。
また婦人科は敷居が高く受診しづらい印象をお持ちの方は、いつものかかりつけの先生にまずは相談されてみてはいかがでしょうか。

(T・F記)

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