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熱中症

熱中症

平成25年8月1日 発行

熱中症(暑熱障害)は、室温や気温が高い場所に長時間いることによって体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害(めまいやけいれん、頭痛など)の総称です。熱中症は暑さに慣れていない人、暑さに慣れていない時期に多くなる傾向があります。特に気温が高い、湿度が高い、風が弱い、急に暑くなったような日は熱中症の注意が必要です。

体温よりも気温が低ければ、皮膚から空気中へ熱が移りやすく、体温の上昇を抑えることができます。また、湿度が低ければ汗をかくことで熱が奪われ、体温を上手にコントロールすることができます。しかし、気温が体温より高くなると、空気中への熱の放出が難しくなるため、体温調節は発汗だけに頼ることになります。ところが真夏日によくあるように、気温が高いばかりでなく、湿度も75%以上になると、汗をかいても流れ落ちるばかりでほとんど蒸発しなくなり、発汗による体温調節すら事実上できなくなってしまいます。

熱中症は、こうして体温を調整する機能がコントロールを失い、体温が上昇してしまう機能障害です。実は、炎天下ばかりでなく、室内で静かに過ごしていても起こり得ます。実際、スポーツ、労働における熱中症対策が進んでいるのに対し、高齢者が室内で熱中症になって倒れているのを発見されるというケースが増加していることが問題になってきています。

[予防法]

暑さに慣れましょう。普段から屋内の冷房の設定温度を高めに設定し、暑さに慣れるまで、短時間で軽めの運動を行いましょう。出来るだけ薄着をして、直射日光下では帽子を被り、吸湿性や通気性の良い衣類を着用しましょう。湿度が低い場合でも、気温が35度以上の場合は特別な場合をのぞいて運動を禁止、31度以上の場合は激しい運動は中止し、湿度が高い場合は、27度以上で運動を禁止、24度以上では激しい運動を中止し、体力の弱い者や暑さになれていない者などには禁止することが望ましいでしょう。

冷たいものを摂取することで、体内からも冷やすことができます。多量に摂取した場合、胃腸に負担がかかる場合もあるので摂取量には注意が必要です。

体感温度を下げられない環境下において、発汗がやむをえない場合は、発汗の量に合わせた水分・塩分補給が必要です。運動・就労前に内臓(胃など)の負担にならない程度に適度の水分を取るように心がけましょう。

また普段から体調管理につとめ、睡眠を十分に取ることが大切です。

[かかった場合の応急措置]

冷却と経口摂取による水分補給が基本ですが、経口摂取が難しければ点滴が必要です。具体的には経口補水液(なければスポーツドリンク)を飲ませましょう。その他では手近な物として味噌汁などが極めて有効です。

また涼しい場所で休ませましょう。木陰やクーラーの効いたところで衣服を緩めるのが良いでしょう。近くにそのような場所がないときは、うちわなどで早急に体を冷やしましょう。

脱水状態では汗をかくことができないので、汗をかいておらず、体温が高くなくても熱中症の可能性はあります。体温調整が出来なくなっているため、高温多湿の体育館内での運動中などに寒気を訴える場合があり、そういったときは熱中症の兆候を疑ってみた方がよいでしょう。

本格的に熱くなるこの時期、熱中症を予防し元気に夏を乗り切りましょう。

(H・T)

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