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生理痛と薬

生理痛と薬

平成24年4月1日 発行

昔も今も、生理が来る度に憂鬱になる女性たちがたくさんいます。痛みをちょっと我慢すれば過ぎ去る人もいれば、生理が始まる前から終わるまでずっと我慢を重ねている人もいます。この痛みから解放されるとどんなに楽しい人生がすごせるだろうと思っている人達も少なくありません。何とか楽に、できれば快適に生理期間を過ごすことができないものでしょうか?

生理痛があればその原因となる病気が必ずある、というわけではありません。病気がなくても生理痛は起こるのです。その時の体調、環境、ストレスなど、生理痛を引き起こす要因はたくさんあります。まずはその要因を取り除くことが第一です。病気があれば病気の治療を、環境が悪ければ環境の改善を行います。体を冷やさないようにすること、生理の時に腰やおなか、足元を暖めるのは効果的です。立ちっぱなし座りっぱなしはダメです。少し体を動かして月経血の流れを停滞させてないようにすることが大事です。寝不足はてきめんに痛みを強くします。職場や部署が変わっても強い生理痛は起きますし、ストレスのある時は生理痛が強くなり、リラックスしている時は軽くなることを経験した方も多いことと思います。

しかし、現代社会で生活する上でこれらの状況をすべて改善、改良することはとても難しいことです。ではどうすればいいのでしょう?こういう時にこそ薬は皆さんの味方になります。でも薬を飲むことをためらっていませんか?鎮痛剤は体に悪いとか、癖になるとか、薬が効かなくなるとか…一体どの程度の薬を飲めばそういう状態になるのでしょうか?あなたの痛みは月に一度、数回鎮痛剤を飲めば済む程度ではありませんか?薬は飲み方によっては毒にもなりますがやはり薬なのです。上手に薬を使うことは決して悪いことではありません。

それではどういう薬をどういう風に使えばよいのでしょう?最初に使うのは鎮痛剤が一般的です。鎮痛剤にもいろいろ種類がありますが、効き方には個人差がありますのでいくつか試してみて自分に合った薬を見つけましょう。でもどの薬も飲むタイミングが遅いと効きが悪くなります。早いタイミングで飲めば早く長く良く効きます。次に試してみたいのは漢方薬です。毎日飲んで体質改善を図るものが主体ですが、鎮痛剤として漢方薬を使う方法もあります。普通の鎮痛剤との併用も可能です。漢方薬なら副作用がないというわけではありません。漢方薬も薬です。薬だと思って飲んでください。それでも痛みがうまくコントロールができない場合、ピルの使用を考えます。ピルの「生理が順調で軽くなる」という副効用を利用します。現在は月経困難症に対して保険診療のできるピルもあります。ピルというだけで拒否反応を示す方も少なくありません。副作用を心配してのことでしょう。でも、鎮痛剤や漢方薬にも当然副作用があります。同じような副作用から各々の薬に特徴的な副作用までいろいろありますが、ピルだけが副作用出現の頻度が高いわけではありません。どの薬も効き方、副作用の出現には個人差がありますので、自分に合った薬を見つけることがうまく生理痛と付き合っていける鍵になるでしょう。

たかが生理痛、されど生理痛。生理痛に良いとされる事を試してみて、それでも足りない部分は薬を使ってみるのも悪くはありませんよ。

(I・A)

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