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かぜ症候群

かぜ症候群

平成23年12月1日 発行

いよいよ寒さ到来、冬の時期がやってきました。せき、鼻水、熱などのいわゆる“かぜ”の症状が出やすい時期になってきました。今回は、かぜ症候群にスポットをあててみたいと思います。実はかぜとは、ひとつの病気を指す正式な病名ではありません。異なった病原体が鼻やのどなどに取りついて起こるさまざまな症状を、ひとくくりにして「かぜ・風邪」と呼んでいるだけなのです。主な原因は、大人ではライノウイルス、お子様では、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルスなどです。

主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などの呼吸器症状ですが、発熱、食欲低下、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などもよく見られます。その他、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。1週間程度で回復しますが、症状が長引く時は他の合併症を考えて検査を受ける必要があります。インフルエンザも一般的にはかぜ症候群に含まれます。

どんな診断・検査が必要ですか?
通常は、臨床症状だけで診断がつくためあまり検査は行いませんが、血液検査で、ウイルスの感染を示す白血球の減少やCRPの軽度の変動を認めることがあります。逆に、血液検査で、白血球の増加やCRPの上昇が見られたら、ウイルスよりもむしろ細菌感染の可能性か細菌感染の合併を考える必要があります。一般的には、症状が軽くてすぐ治るのがかぜ症候群ですから、ウイルス検査などは必要ありません。しかし、インフルエンザの可能性が疑われるときには、検査を行うべきでしょう。その理由は、インフルエンザは重症化する危険性があることと、最近特効薬が開発されたため、早めに診断すれば有効な治療が可能だからです。

どんな治療法がベスト?
通常は、安静を主体とした対症療法が治療の中心です。熱があって体がだるければ、非ピリン系の解熱鎮痛剤を用いますが、安易な解熱剤の投与は重篤な合併症を招く危険性があります。特に、インフルエンザの時のアスピリンの服用は、脳炎、脳症の危険性が高まるとされ使用を控える方がよいでしょう。小さいお子様では特に危険です。他の鎮痛解熱も同様の危険性がありますから、薬を服用せずに、安静と氷枕だけで軽快すれば理想的です。しかし、症状が強くてどうしても服薬が必要な時には、アセトアミノフェンが比較的安全だとされています。かぜ症候群はウイルス感染ですから、基本的に抗生物質は効きません。しかし、細菌感染の合併が疑われるような症状、つまり、痰に色がついたり、ねばねばした汚い痰がでたり、のどの痛みに加え白いぶつぶつが見られる時には抗生物質が必要になります。また、熱が1週間以上続く時にも必要になるかもしれません。 また、お子様は発熱が続き嘔吐・下痢などの消化器症状が合併してきますと、脱水症にかかりやすく体力低下をきたしてきます。そのため年齢に応じた水分補給や食事の注意が必要で、来院する前に熱、飲水量や尿回数も記録して受診されると診断や治療に有用な情報となります。

投薬され安静に自宅で過ごされても、1週間前後で回復されない時は、早めにかかりつけ医療機関を受診してください。

(R・S)

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