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夏の皮膚病

夏の皮膚病

平成23年8月1日 発行

皮膚病は夏と冬ではどちらが多いのでしょうか?
 皮膚科医の診療所で、患者さんの人数をみると、夏期のほうが、受診者が多くなります。なぜでしょうか?

春先に花粉症が落ち着く頃から…
①気温が上昇し植物が育成し
②昆虫が活動をはじめる。
③梅雨の後、陽射しが強く、
④暑さで汗ばんできます。
⑤衣服は薄着になり、
⑥子供はプールや水遊び、
⑦夏休みはキャンプや旅行。

環境や生活が変化していく時期に一致して、様々な皮膚のトラブルが発生します。

では、どのような皮膚病があるのでしょう?

①から⑦に合わせてみていきます。まず、植物による「かぶれ」庭ではハゼの木、野山ではウルシによることが多くひどい症状になる人がいます。
 虫では、特にケムシによる皮膚炎がみられます。特に公園や庭木の手入れで要注意。
 梅雨になると湿度が上がりミズムシの人が急に増えます。梅雨間の強い陽射しで、紫外線アレルギーを起こす人がでてきます。
 更に暑くなってくるとアセモや湿疹の人が多くなり、薄着になり、腕脚のスリキズや虫刺されがピークになってきます。
 子供では、そのスリキズから「トビヒ」感染をおこしたり、プールでは「水イボ」感染がみられるようになります。
 海水浴や旅行の後、過度の日焼けによる受診や、キャンプや野外コンサートで、時にひどい虫刺されをおこし受診という人がでてきます。また海水浴でのクラゲ刺傷や、山でのムカデ咬傷、ハチに刺されたなどなど…
ザッと挙げても、このように皮膚に関するトラブルは、夏のほうが多くなるよう思います。

ではこの中ので、特に皆さんの関心のありそうなものについて、もう少し詳しく説明してみましょう。まずは子供の皮膚病から。

トビヒは皮膚の表面に細菌がつき、ただれや発赤をおこし、広がっていきます。キズや湿疹などから発症することが多く、2歳から8歳くらいで多くみられます。適切な治療を受けないと悪化しますので要注意!

水イボはプールや水遊びの際に伝染するウイルスによるもので、やはり2歳から10歳未満に多くみられます。こちらは将来的に自然治癒するので、患児のおかれた環境により、保護者と相談して治療をします。

ミズムシは子供より、大人に多く見られ、白癬菌という真菌(カビの仲間)の感染です。梅雨時が受診者が多くなります。足の湿疹や汗による皮疹と紛らわしい場合があり、安易な市販薬による自己治療に頼らず、皮膚科受診をお勧めします。

紫外線アレルギーによる皮疹は、日焼けと違い日光のあたった部位に湿疹ができます。薬物による場合と、花粉症のように突然ある年に発症する場合があります。主に顔や腕にみられ、前者は薬物を中止します。後者は体質変化なので毎年おこるようになります。治療とともに、紫外線防御を考えなくてはなりません。

以上代表的な病気を紹介しましたが、夏の肌は残念ながら不慮のトラブルに見舞われやすいので、皮膚病になったら皮膚科に相談しましょう。

(T・T)

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