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冬場のウイルス感染はインフルエンザだけじゃない!
他にもあった怖い風邪!

冬場のウイルス感染はインフルエンザだけじゃない!
他にもあった怖い風邪!

令和1年12月2日 発行

皆さんはRSウイルス感染症という病気を知っていますか? このウイルスは冬場に多い風邪の原因になります。年長児や大人が罹っても酷い風邪程度で済みますが、小さな赤ちゃんが罹患すると結構大変な事になる場合があります。そしてRSウイルスは2歳くらいまでにほぼ全員が感染するのです。特に集団保育をされている乳児では罹患しやすく、あっという間にクラス中に広まります。感染方法は飛沫感染と接触感染ですので、乳児ではオモチャなどを舐めたり手洗いやうがいが出来にくかったりする事も広まる原因かもしれません。

RSウイルスに感染すると2-8日の潜伏期を経て酷い鼻水や咳が出てきます。多くの人は自然に軽快していきますが、乳児では、長くゼイゼイしたり、鼻水で息がし難くなったり、哺乳できなくなったり、高熱が出たりします。また中耳炎を合併する事もあり、新生児では無呼吸発作と言って息を止めてしまう事もあります。乳児や1、2歳の子供でこのような症状が出てきたらRSウイルス感染を疑って検査する事になります。この検査の結果が陽性で感染が確認された場合、呼吸状態や酸素濃度測定の結果により入院かどうかを決める事になります。発症してから5日目くらいが一番苦しい時で、入院して点滴や酸素投与が行われます。稀に細菌感染を合併して抗生物質を投与される場合もあります。ほとんどは合併症無く退院できます。しかしその後も風邪になる度にゼイゼイを繰り返す子供も見られます。同じように乳幼児をゼイゼイさせるウイルス感染にヒトメタニューモウイルス感染症があります。これも子供の頃に何度か罹り乳児期には肺炎などを起こして重篤になる場合があります。

これらのウイルスはインフルエンザウイルス感染のように飛沫感染です。冬場は空気が乾燥しウイルスが拡散しやすい環境になります。手洗いうがいはもちろん、咳やくしゃみの際のエチケットも心がけたいですね。さらにウイルスを除去するために次亜塩素酸でオモチャなどを消毒するのも良いでしょう。また、乳児のいるご家庭では、風邪ひきさんを乳児から遠ざける配慮も必要かもしれません。集団生活をなさっている乳児は、ゼイゼイするような様子があれば、是非かかりつけ医に早めに相談されると良いと思います。また、小さく産まれた赤ちゃんや免疫不全、心臓病、ダウン症などの赤ちゃんではシナジスというRSウイルスに対するワクチンを打っています。

どのウイルスも基本になるのは予防です。よく寝てよく食べて手洗いうがいを行い冬の時期を元気に乗り越えましょう。

(M・C記)

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