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花粉症?

花粉症?

平成25年2月1日 発行

いよいよ2月に入り花粉症の時期到来です。今年飛散する花粉の量は、例年の2倍以上、昨年の5倍とも言われています。花粉症の時期になると、よく「花粉症だから薬を下さい」という患者さんが病院へきます。しかし、それはほんとうに花粉症ですか?自分で診断していませんか?花粉症とは、そもそもスギやヒノキの花粉にアレルギー反応をおこし、鼻水がとまらなくなったり、鼻がつまったり、目が痒くなったりする症状を呈することです。ハウスダストやダニなどに反応して、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを訴える患者さんは、通年性アレルギー性鼻炎といいます。花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎です。

耳鼻科を受診する患者さんを診ていると、花粉症で鼻がつまるという方でも、よくみると実は副鼻腔炎だとか蓄膿だとか、ときには鼻の中にポリープがあるとか、あるいは鼻の腫瘍ですよ、という患者さんがいます。先日も内科でアレルギーの薬をもらっているが、鼻がつまって辛いです。薬を内服してもよくならないから耳鼻科でみてもらうように言われました、という患者さんがきました。鼻をみると、鼻の中の奥両側にかなり大きなポリープがあり、鼻が塞がっていました。花粉症だと思っていても、実は違う場合もあります。花粉症で治療していても1ヶ月鼻づまりが改善しなければ、いちどは耳鼻科で鼻の診察を受けてみて下さい。

花粉症の治療も、昔は筋肉注射を受けたという方もいるかもしれませんが、それはステロイドホルモン剤という薬が入っていて、副作用の問題で今はほとんど行われてはいない治療法です。通常は抗ヒスタミン剤というアレルギー症状をおさえる飲み薬や鼻にさす点鼻薬が主な治療薬です。今までの抗ヒスタミン剤は眠気を伴うことが多かったですが、最近は眠気の少ない薬もあります。それに、初期療法といって花粉が飛び始まる少し前から薬を内服し始めると重症の方でもコントロールがよいということが言われています。また、鼻づまりがひどい方や飲み薬・点鼻薬でコントロールのつかない方には、レーザーで鼻の粘膜を焼いてアレルギー症状を抑える治療もあります。しかし、いずれも対処療法で永久的に治る治療ではありません。減感作療法といって根本的に治す治療もありますが、アレルギーを起こす物質を少しずつ注射していき、体に抗体といって免疫をつくっていく治療です。通院期間が長かったり、副作用の危険があったり、治療できるものが限られていたりして、あまり普及していないのが現状です。最近は舌下免疫療法といって、注射の代わりに、舌下にアレルギーを起こす物質を少しずつ滴下していき、同じく体に抗体といって免疫をつくっていく治療ですが、まだ保険の適応はなく、これから始まる治療法です。詳しくは近くの耳鼻科、アレルギー科で相談してみて下さい。

花粉症は予防も大切です。マスクやゴーグルで目や鼻、のどからの花粉の侵入を防ぎます。外出先から帰宅したら、服についた花粉を落とすことも大切です。顔を洗ったり、目を洗ったり、ときには鼻洗いもよいです。鼻洗いは少したいへんですが、鼻洗い用の器具も薬局で売っています。薬を飲みたくない人には、試してみてもよいかと思います。

(T・K)

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