メディカル豆知識バックナンバー


                     
平成22年12月号 風邪かと思ったら…
平成22年10月号 屈折矯正について
平成22年8月号 休日診療所の役割
平成22年6月号 大腸がん検診を受診しましょう
平成22年4月号 春に多いうつ病の話
平成22年2月号 子宮頸がん予防ワクチン
平成21年12月号 日本の乳幼児にもヒブワクチンを
平成21年10月号 最近多い?「過活動膀胱」
平成21年8月号 慢性腎臓病(CKD)が注目されています
平成21年6月号 眼科検診が始まります!
平成21年4月号 目黒区は出生率ワースト1
平成21年2月号 脳卒中の予防
平成20年12月号 糖尿病から目を守る
平成20年10月号 ピンクリボンをご存知ですか?
平成20年8月号 「お肌と紫外線」
平成20年6月号 「こどもの健康教室」と「特定健診」
平成20年4月号 花粉症について
平成20年2月号 C型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルス
平成19年 12月号 乳腺症について
平成19年 8月号 チャドクガ
平成19年 6月号 麻しん(はしか)が流行しています!
あなたやあなたの家族は大丈夫ですか?
平成19年 4月号 身近にメンタルな問題をかかえている人はいらっしゃいませんか?
平成19年 2月号
夜間頻尿に関して
平成18年12月号
便潜血反応と大腸癌
平成18年 8月号
目薬の話
平成18年 6月号
区民のみなさん健診を受けましょう!−なるべくお早めに!−
平成18年 4月号
睡眠の話
平成18年 2月号 花粉症は大丈夫?
平成17年12月号 インフルエンザについて−予防が大切−
平成17年10月号 眼圧は正常と言われたのに緑内障?!
平成17年 8月号 婦人科検診受けましたか?
平成17年 6月号 肌のトラブルについて−「紫外線対策」していますか?−
平成17年 2月号 運動器について考える−皆さんは姥捨山を希望されますか−
平成16年12月号 丈夫な骨をつくりましょう
平成16年10月号 瞳いきいき輝いて
平成16年 8月号
顔面(神経)麻痺と顔面痙攣
平成16年 6月号
流行性角膜炎(はやり目)と咽頭結膜熱(プール熱)にご用心
平成16年 4月号
性感染症の現状 −自分には関係ないと思っているあなたに−
平成16年 1月号
前立腺癌とPSA(前立腺特異抗原)について
平成15年12月号
胃の病気とピロリ菌
平成15年 8月号
風疹(三日ばしか)にご注意! −予防注射の期限を忘れずに−
平成15年 6月号
逆流性食道炎とは −胃酸が食道の粘膜を傷つけるのです−
平成14年12月号
効果のある予防接種 −軽くみてはいけないインフルエンザ
すこやか


平成22年12月1日 発行

  風邪かと思ったら…

  皆様はどのような症状を自覚すると、風邪かな?と感じられるでしょうか。
悪寒、発熱、倦怠感、のどの痛み、鼻水、咳、声枯れ、頭痛、嘔吐、下痢など様々な症状の組み合わせだろうと思います。のどの痛み一つをとっても、鼻の奥のヒリヒリ感、ツバを飲み込む時の痛み、イガイガ感、時には食事も摂れないほどの痛みだったり、人それぞれ症状に違いがあります。私たち医師は、それらの症状や診察した所見から、どのような状態かを判断し治療を行います。この時に重要なことは、風邪のような症状の陰に重大な疾患が隠れていないかどうか、あるいは風邪によって持病を悪化させ重篤な状態に陥らないように見極めるということです。

  風邪は、ほとんどの場合、無理せず過ごしていれば自然に治癒します。しかし、基礎疾患があったり、免疫力が低下していたりする場合は注意が必要です。耳鼻咽喉科には、内科や小児科で風邪の薬を処方してもらってだいたい治ったのだけれども、鼻水だけが残っているとか咳だけが続いているといった方がよくみえられます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が基礎疾患としてある方は耳鼻科的な処置や投薬で改善します。また声がかすれてしまう方は喉頭の診察が必要な場合もあり、やはり耳鼻科的な検査が必要です。しかし一般的な風邪症状に対する初期治療は、どの診療科でもさほどかわらないと思われます。持病がある方は、まずはかかりつけ医に相談することをおすすめします。

  昨年は新型インフルエンザ(H1N1)騒動がありました。インフルエンザもウイルス感染症なので大きな意味では風邪と言えなくもないのですが、その感染力や致死率はいわゆる風邪とは違います。目黒区では今年9月にH1N1インフルエンザによる学級閉鎖が一部でありましたが、今のところ拡大している様子はないようです。本来インフルエンザがみられない季節にも散発ながら感染が確認されるということは、今後流行が拡大する可能性もあるかと思います。すでに北海道・沖縄でははやり始めたとのことで、昨年のH1N1型だけでなく、H8型(A香港型)もみられるとのことです。皆様も是非インフルエンザの予防接種を受けて下さい。

  昔から風邪は万病のもとと言われていますが、医学が発展した現代でもかわることはありません。風邪かも、と思ったらご自分の体とよく相談をしてください。仕事が忙しく休んでいられないとおっしゃる方もいるでしょう。しかし、さらに悪化させて長期間休むことになったり他の方にうつしてしまったりすれば、個人の損失だけでなく社会的な損失も拡大してしまい、多くの方に迷惑をかけることになります。

  十分な休養やマスクや手洗いはインフルエンザの時だけではありませんよ。

  (T・Y)

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平成22年10月1日 発行

  屈折矯正について

   屈折矯正ってなに?簡単に言えば、近視や遠視や乱視や老眼で見づらい状態を正す、と言うことです。お顔が一人ひとり違っているように、目の大きさや形にも違いがあります。これによって近視、遠視、乱視が決まります。老眼は、ピント合わせの力が衰えることで、40前後から誰にでも訪れる現象です。これらを正す第一歩は、自分に合ったメガネをかけることで、コンタクトはあくまでもメガネのバックアップがあることを前提にした方法です。さらに言えば、今”流行の”レーシックやオルソケラトロジーはメガネや通常のコンタクトで解決できない場合にのみ選ばれるべき、本来かなり慎重にならなければいけない方法だと思ってください。

   最近気になるのですが、お子さんにメガネをどうしてもかけさせたくないという親御さんが増えています。強い遠視がある場合、小学校へ上がるころまで放置すると弱視になる可能性があります。就学後も、民間療法のみに頼り、黒板が見えないという子供に対してメガネをかけさせないでいると、落ち着きが無くなったり、学習への意欲を低下させるので注意が必要です。色々なことを吸収する時期に、視界がぼやけていることの方が子供にとって酷なのです。メガネをかけるとどんどん悪くなるのでは?と心配される方がいらっしゃいますが、度が進むように見えるのは、この時期より近見作業が増えたり、眼球も少し成長するので、メガネをかけたためではありません。

   大人も、特に、40歳前後から誰にでも始まる老眼に対しても対策が必要ですので、年を重ねることにあまり抵抗せず、老眼鏡(この響きに抵抗がある方は、シニアレンズ)をお使いになってみてください。ただ、老眼鏡の度数は人によって異なりますし、60歳前後まで変化し続けますので、見づらくなったらレンズだけでもかえてゆくべきものなのです。

  コンタクトについては、本来ペースメーカーと同様に厳密な管理が必要な高度管理医療機器なのですが、あまりに商業的に扱われすぎているためか、ひどい使用のしかたが目立ちます。1日使い捨てタイプを1週間使用したり、カラーコンタクトを友達同士で使いまわしたり、保存液が勿体無いからといって、かわりに水道水を使ったり、目を覆いたくなる例は沢山です。安くて便利だからといって、検査も受けずにインターネットで購入するのもやめてください。ベースカーブが同じでも、他社の製品が合うとは限りません。自覚症状がなくても、大丈夫とは限りません。ソフトレンズは装用感がよいだけに、初期のトラブルを隠してしまうことがあります。コンタクトはあくまでも目にとって”異物”ですし、角膜の障害は一度おこすと治療にてこずることが多いので、定期検査は必ず受けてください。

  最後に、オルソケラトロジー(以下オルソK)とレーシックについて。オルソKは就寝時に特殊なレンズを装用することにより角膜の形を変え、起床時以降に良好な裸眼視力を提供するものです。レーシックは角膜の表面を薄く剥いで蓋をつくり、その下をレーザーで削ってから蓋を元に戻して角膜のカーブを変えてよく見えるようにする手術で、あとから元に戻すことはできません。いずれも、老眼は解決できませんので、将来を考えれば、軽い近視の方(近くは見える)は無理になさらなくてもよいのではないでしょうか?これらはガイドラインがきちんと決まっているので、誰でも受けられるものではありません。特に、適応年齢は、オルソKは20歳以上、レーシックは親の承諾があれば18歳からとなっているので、親御さんは慎重になさってください。

  視力が落ちたなとおもったら、お近くの眼科へまずはご相談を。

  (M・K)

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平成22年8月1日 発行

  新型インフルエンザの教訓

  昨年は4月下旬に世界保健機関からメキシコ、アメリカにおける新型と思われるインフルエンザの発生が公表されて以来、8月中旬には国内でも流行入りし、11月末には流行のピークを迎えました。その間、区内3ヵ所の休日診療所でも前年度を大きく上回る受診があり、10月〜12月には一部診療体制を強化するなどして、混乱の解消に努めました。

   この新型インフルエンザの流行をきっかけに、マスクの着用、手洗い、うがいをはじめとして、感染症に対する基本的な取り組みが見直され、感染を広げないという意識も広がって来たと思われます。つまり、感染から身を守るためのマスクの着用ではなく、症状の出た方がマスクを着用することによって、周囲に感染を広げないという考え方です。このように、多くの患者さんが集中する救急医療現場では、他の患者さんに対する影響も考慮することが非常に重要となってきます。

  休日診療所での治療

   近年、休日診療所を受診される患者さんのなかに、普段の血圧の薬が切れたので出してほしいとか、仕事が忙しいので休日しか医療機関を受診できないといったことを受診理由にされる患者さんが増えてきました。しかし、休日診療の目的を考えた場合に、そういった患者さんが増加すると他の多くの緊急を要する患者さんの治療に影響を及ぼすことにもなりかねません。

  また少し視点を変えてみると、休日診療所での診察はかかりつけ医における診療とは違うことに気付かれるはずです。つまり、休日診療所では医師会所属の医師が交代で診療に当たっていますが、多くの場合、その医師は患者さんに対して初めて接する訳ですから、非常に少ない情報から診断を下さなければなりません。従って、その段階で確定的な診断が出来ないことも多く、急ぎの治療を開始しながら経過によっては再度医療機関を受診する様に説明することになります。薬の処方もかかりつけ医を受診するまで最小限の日数が原則です。

  さらに、採血やレントゲン撮影といった検査も出来ませんので、緊急でその必要性があると判断された場合には、救急病院を紹介することになります。また、外傷の処置等にも対応しておりません。

  このように休日診療所の診療は入院の必要がないと思われる比較的軽症の内科・小児科の救急患者さんの治療に限られていますが、反面、いわゆる二次救急・三次救急と呼ばれる入院や緊急手術等が必要な救急患者さんの治療にあたっている救急病院の混雑の解消に役立っています。

  直接受診せずにまずは連絡を

  こういった休日診療所の特徴をよくご理解いただくことで、目黒区内の救急医療機関がうまく連携し機能できることになります。ただ、自分の症状は緊急を要するのかどうか、休日診療所に行けばいいのか救急病院に行けばいいのかなど、迷ってしまうこともあろうかと思われますので、その場合は直接受診せず、まず電話でご相談いただければ非常に助かります。

  (Y・I)

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平成22年6月1日 発行

  大腸がん検診を受診しましょう

  食物繊維が少なく、脂肪分の多い欧米型の食事が広まるのにともない、わが国でも大腸がんにかかる人が急増しています。最近の統計では、大腸がんは男性では胃がんに次いで第二位に、女性では乳がんより多く第一位にランクされています。

  大腸がんは早期がんの段階では自覚症状がありません。腹が痛む、便秘と下痢をくりかえす、便に血が混じるなどの症状が出てからでは、進行がんの状態で見つかることが少なくありません。自覚症状のない時点で検査(検診)を受けていただくことによって早期がんの段階で大腸がんを発見することができるのです。

  目黒区では6月1日から11月30日までの期間、特定健診と同時に大腸がん検診を実施しています。便の検体を二回提出していただき、その中に血液が含まれているかどうかを検査します(便潜血反応検査)二回の検査のうち一回でも潜血反応が陽性になると「要精密検査」と判定し、大腸内視鏡検査または注腸レントゲン検査を受診するようお勧めしています。便の中に血液が含まれている場合には、大腸に何らかの病変がある可能性が高いからです。

 大腸がん検診は無料ですが、大腸の精密検査は有料(保険診療)となります。約2リットルの腸内洗浄液を飲んでいただき、大腸の内容物をきれいに洗い出し、内視鏡またはレントゲン検査で病変の有無を検査します。

 大腸内視鏡検査では、検査中にポリープなどの病変が見つかった場合、その場で組織検査の検体を採取したり、ポリープ(早期がんを含む)を切除することができます。通常は外来通院で検査を受けられますが、大きなポリープを切除した場合や75歳以上の高齢者では、検査後の合併症の有無を確認するため、一泊入院が必要となることもあります。

 目黒区では平成20年度に大腸がん検診を33655名の方が受診され、2333名(6.9%)が便潜血反応陽性で、「要精密度検査」と判断されました。このうち、771名(33.0%)の方が精密検査を受診され、47名(精密検診受診者の6.1%)の方から大腸がんが発見されました。

 すなわち、大腸がん検診で「要精密検査」と判定されても、大腸がんが発見される確率は6%に過ぎず、94%の方は良性疾患もしくは異常なしと判定されています。ご自分が大腸がんにかかっていないことを確認する意味で精密検査を受けると考えても良いでしょう。

 逆に、「要精密検査」と判定されながら、1562名(67.0%)の方は精密検査を受診していません。この方達の中からも同じ確率で大腸がんが見つかるはずであり、ほぼ100名の大腸がんが発見されないまま見過ごされている可能性があります。

 大腸がんは早期がんの状態で発見できれば、内視鏡による切除だけで治癒ができます。進行がんの状態で見つかったとしても、肝臓などへの転移がなければ、手術を受けることで高率に治癒が期待できます。あなた、もしくは、あなたの大切な人を大腸がんで失わないために、大腸がん検診を積極的に受診し、「要精密検査」と判定された場合には、ためらわずに大腸の精密検査を受けていただくことをお進めします。

  (H・Y)

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平成22年4月1日 発行

  春に多いうつ病の話

  春と言えば皆さまは何をイメージされるでしょうか?日照時間が長くなり明るく感じられるようになり、ライフイベントでは新しい生活環境へ変化された方も多いかと思います。実はこの周囲の変化に対して、気持ちの切りかえのスピードが追いつかないと、めまい、頭痛、吐き気など自律神経の乱れによる症状が表れ、悪化するとおっくうな気持ちが強くなり、抑うつ症状が強く出るのが春に特徴的なうつ病の所見になります。チェックリストを用意しましたので、どうぞお試しください。

  OL・ワーキングウーマン

 □ 朝、メークするのが面倒

 □ 洋服や髪型など、おしゃれに無関心になった

 □ ランチを食べる気にならない

 □ 休日、友人と遊んだり、ショッピングをしてもつまらない

 □ 理由もなくイライラする

 □ ちょっとしたことで、涙がでてしまう

   ビジネスマン

 □ 朝、新聞を読む気がしない、読んでも上滑りしてしまう。

 □ 仕事の能率が落ちた

 □ 仕事でのちょっととした決断ができない

 □ つまらないミスが増えた

 □ 飲みに行く気になれない

 □ 休みはとにかくゴロゴロしていたい

 □ 身の置きどころがないようで落ち着かない

 □ 寝つきがわるい

  主婦

 □ 朝、家族が起きても寝ている

 □ 以前は午前中で終わっていた家事が、夕方までかかる、または終わらない

 □ 家事がつらい

 □ 夕食のメニューを決められない

 □ 季節の変わり目に、めまい、頭痛、肩こりで悩むことが多い

 □ 近所の人が集まっていると、自分の悪口を言われているような気がする

 □ 自分はダメな母親、妻だと思ってしまう

  高齢者

 □ 病気ではないか、お金がなくなるのではないかと、健康や金銭に関して実際以上に心配してしまう

 □ 肩や腰、膝等が痛いが、整形外科に行っても異常ないといわれてしまう

 □ 言いようのない不安や焦りがあって、いても立ってもいられない感じになる

 □ 悲しい、早くお迎えがこないかと、周囲にこぼすようになった

 □ 物忘れがひどくなった気がする

  チェックリストで2〜3個当てはまる方は要注意です。

  うつ病からの回復をうまく形容した言葉に「三寒四温」があります。冬から春にかけて徐々に暖かくなる天候を現した言葉で、3日寒くても4日暖かくなり、そしていつしか春になるという意味です。冬の寒さをうつ病の症状に例え、じっと寒さを堪え、日々を過ごす、日が経つにつれ暖かくなる、時に寒い日へ戻っても、長い目で見れば確実に暖かくなり、春を迎えるということです。

   近頃で昔に比べると副作用が少なく効果的な治療薬が増えています。薬だけではなく一緒に生活を見直したり、アドバイスをすることも精神科の治療です。「早く治そう」「治されければ」と考えず、ゆっくり構えることが治癒への近道です。

   お心当たりのある方は、是非お近くの精神科へご相談してみてはいかがでしょうか?

  (T・E)

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平成22年2月1日 発行

   子宮頸がん予防ワクチン

   子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、遺伝とは関係なく女性なら誰でもなる可能性があります。女性のがんの中では乳がんについで死亡原因の二位であり、最近は20代から30代の若い女性で増えてきています。

 子宮頸がんは定期的に検診を受けていれば、がんになる前あるいはがんの早期に発見・治療ができるので、目黒区でも20歳からがん検診を受けられるようになっています。

   子宮頸がんの原因は?

   子宮頸がんはほとんどがHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染によって起こります。HPVは性交渉で感染するとされていますが、特別なものではなく、80%以上のひとが一生に一度以上、かかるものです。HPVには100以上のタイプがありますが、がんを起こしやすいハイリスクの発がん型は15種類ほどあり、特に16型と18型が多くみられます。ウイルス感染が原因ですから、インフルエンザなどのようにワクチンで予防することができます。日本でも16型と18型に対するワクチンが昨年承認され、予防接種ができるようになりました。海外ではすでに100カ国以上、200万人以上に接種されています。

   ワクチンはいつ誰に接種するの?

   10歳以上の女性ならだれでも接種できます。海外では11〜12歳で接種することが多く、ヨーロッパやオーストラリアなど国中で推進しているところも少なくありません。初回・1ヵ月後・6ヵ月後の3回接種することで十分な予防効果がえられます。効果は現在のところ5年以上は続くことがわかっていますが、それ以降については今後の報告によります。

   副作用は?

  麻疹やインフルエンザなどのワクチンとおなじ程度とされています。注射した部分の腫れや痛みが起こることがありますが、普通は数日でおさまります。まれに重いアレルギー反応が起こることがあるので、接種する際には医師の指示に従ってください。

   ワクチンを接種したらがん検診は受けなくてもいい?

  このワクチンは発がん型HPVの16型と18型の感染を予防するもので、その他の発がん型HPVに対する予防効果は期待できません。子宮がん検診は定期的に受けましょう。すでに検診で精密検査をするようにいわれている方たちは、ワクチンを接種しても治療効果はありませんが悪くなることもありません。どちらかの型にかかっていても、もう一方の型に対しての予防のためにワクチンを接種するのもよいでしょう。

  (Y・M)

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平成21年12月1日 発行

   日本の乳幼児にもヒブワクチンを!

   1998年3月にWHOが、ヒブワクチンの乳児への定期接種を勧告してから、10年後の2008年12月19日、日本の子どもも、遂にヒブワクチンを受けられるようになりました。既に90ヶ国以上定期接種プログラムに組み込まれ、乳幼児を重篤な細菌性髄膜炎から守っているワクチンです。

   細菌性髄膜炎とは?

   細菌性髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜の細菌感染症です。約6割はインフルエンザ菌b型(Hib・ヒブ)、約3割は肺炎球菌が原因です。子どもたちに時々見られる菌です。高熱、頭痛、嘔吐など、普通のかぜと同じ症状で始まることが多く、早期診断は容易ではありません。急激に進行することも多い病気です。

   インフルエンザ菌b型(Hib・ヒブ)とは

  現在大流行中の新型インフルエンザと名前が似ていますが、全く異なる病原体です。  新型インフルエンザは、H1N1インフルエンザウィルスが原因ですが、ヒブは細菌です。1832年、インフルエンザが大流行した時患者の痰から見つかった菌なので、インフルエンザ菌という名前になりました。後にインフルエンザはウィルスでおこる病気であることが判明しました。インフルエンザ菌には、莢 膜という外側の膜を有する菌と、有しない菌があります。莢膜にはa〜fの6種類の型があり、bを有しているものが、インフルエンザ菌b型(ヒブ)です。これは病原性が強く、5才未満、特に2才未満の乳幼児に重篤な細菌性髄膜炎、敗血症、骨髄炎などをおこします。幼い子どもは莢膜に対する抗体を作れないのです。年間1000人位の子どもが罹り、髄膜炎のため5%位が死亡、20%位が後遺症を残しています。これは大変な事で、何とかせねばなりません。

   ヒブワクチンをすべての子どもに!

  約20年前、ヒブワクチンを導入したフィンランドでは、数年後ヒブによる重症感染症がほぼ0になりました。生後2ヶ月でヒブワクチンを開始している多くの国でも、ヒブによる病気は稀なものになっています。昨年に12月より日本で使用されているワクチンは、既に世界で約1億5000万回接種されたもので、重大な副反応報告がないという、安全な予防接種です。保育園不足が叫ばれ、今後ますます産休明け保育が増加する現在、ヒブの保菌者が2〜5%存在する事実を考慮すると、大切な乳幼児の健康を守るため、すべての赤ちゃんに適切にヒブワクチン接種をすることは、日本において最も重要な保健対策です。ただ全く残念な事に、ヒブワクチンは大変な品不足状況にあります。申し込んでから接種が可能になるまで4〜6ヶ月も待たねばなりません。この間ヒブ髄膜炎に罹患してしまった赤ちゃんがいます。一日でも早くヒブワクチンを打ちたいと日本中で小児科医が願っています。

  (O・K)

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平成21年10月1日 発行

   「過活動膀胱」って何?どんな症状?

   過活動膀胱とは、突然おしっこがしたくなり、もれそうになる感じ(尿意切迫感といいます)を起こす病気です。英語でOveractive BladderといわれるためOABともいわれます。「過剰に活発な膀胱」、「活発すぎる膀胱」という意味です。二〇〇二年頃より国際学会で定義され、こう呼ばれるようになりました。 症状の中心は「尿意切迫感」であり、「おしっこがしたいと感じてからトイレに行くまで我慢できない!」というようなとき、過活動膀胱の疑いがあります。また頻尿(目安として起きている間8回以上、夜間1回以上)も伴うことが多く、さらに症状が強いと、我慢できずにおしっこをもらしてしまう(切迫性尿失禁)こともあります。このような症状があると、生活に何かと不便で、外出や旅行も控えがちになり、生活の質を落とします。

   過活動膀胱にはどうしてなるの?

  主な原因は、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に排尿を始めようと収縮してしまうことです。膀胱がうまくコントロールできなくなるのです。その症状を引き起こす要因は、脳血管障害などの神経疾患、男性では前立腺肥大症、女性では骨盤底の筋肉のゆるみなどがあげられます。例えば脳や脊髄にトラブルがあると、膀胱の神経が思ったように働かなくなることがありますし、前立腺肥大がある人は、狭くなった尿道に尿を押し出そうとして膀胱に負担がかかり、それが原因となって膀胱がコントロールしにくくなります。また出産経験のある人や肥満気味の人では骨盤が下がりぎみになり、これが原因となることもあります。しかしこれといった原因がない場合も多くあります。ただし、細菌性膀胱炎や尿道炎などの感染症、膀胱癌・前立腺癌などの骨盤臓器癌が原因のものは除外します。 最近の調査では、過活動膀胱の症状がある人は40歳以上の12.4%にもなり、そのうちの半数くらいの人では尿もれもあります。症状のある人の割合は年齢があがるにつれて増え、80歳以上では40%くらいにもなるようです。

   過活動膀胱の診断にはどんな検査をするの?

  過活動膀胱を診断するためには、尿意切迫を特徴とする主訴・症状を問診やアンケートなどで確認することがもっとも重要です。検査はほかの病気(骨盤内臓器の癌や尿路感染、尿路結石など)がないことを確認するために行われますが、大変な検査や痛い侵襲的な検査は通常は必要ありません。基本的には尿検査と超音波検査が必須です。

   過活動膀胱の治療ってどんなものがあるの?

  過活動膀胱には、抗コリン薬という薬剤、つまり尿意と膀胱の収縮を抑える作用の薬を飲むことでかなり改善できます。まれに口が渇く、便秘、めまいなどの副作用が出る場合がありますが、ここ数年で出たたくさんの新しい薬では副作用の頻度はかなり少なくなっています。ただしこの系統の薬剤で尿意と膀胱の収縮を抑えると、排尿後の残尿が多くなることや尿の勢いが弱くなることがあるため、泌尿器科専門医の下で定期的にチェックすることが必要です。

   生活の注意点は?

  症状を改善するには、まずセルフケアも大切です。水分は摂取の目安を1日1〜2リットルとして夜の過剰摂取は抑えましょう。ただし水分を控えすぎるのはよくありません。カフェインやアルコールを含む飲み物などは症状を悪化させるので、できるだけ控えましょう。多くの方に共通するのは冬場の冷えがとくに増悪させるので、下半身を腹巻き、ひざかけやカイロなどを使って保温に努めることです。また過労やストレスもよくないですし、便秘によりトイレでいきむことなども症状を悪化させるので注意が必要です。 尿意切迫や尿漏れは「もう年だから仕方ない」といってあきらめないで、泌尿器科やかかりつけ医を受診してみて下さい。必ず生活の質は改善するはずです。

  (O・K)

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平成21年8月3日 発行

   慢性腎臓病(CKD)とは「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」、もしくは「腎機能低下」が3か月以上続く状態をいいます。最近CKDに対する取り組みがわが国を含め、全世界的に進んでいることをご存知ですか?

   CKDが注目されている3つの理由

   ひとつは、日本におけるCKDの患者数は1330万人、実に人口の12.9%と推定されており、膨大な数の患者が存在する事が明らかになったことです。またCKDが進行すると透析や移植が必要になる場合があります。慢性透析患者数は年々増加しており2008年末には28.3万人に及び、この数は日本人の460人に一人が透析治療を受けているということになります。

   二つ目は、CKDは比較的早期から脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患を発症する確率や死亡率が上昇することが明らかになったことです。このことより健康を脅かす重要な疾患群だと考えられるようになりました。

   三つ目は、CKDの治療が可能になってきたことです。「厳格な降圧療法」「尿蛋白の減少を図る」など、今ある治療法を十分活用した治療を行えば、腎機能の悪化や心血管疾患の発症を抑制できることが分かりました。

   早期診断のためには

   CKDの症状は易疲労感、倦怠感、食欲不振、嘔気、浮腫などですが、これらの症状は病気がかなり進行してから出現しますが、初期には自覚症状はありません。一般的には腎機能が低下する前から蛋白尿をきたすため、CKDを早期に発見するには尿検査が有効です。特に糖尿病による腎障害の早期発見には微量アルブミン尿検査が重要です。

   治療のポイント

   CKDと判断されたら原因疾患の検索を行います。また血液検査を行い、血清クレアチニン値を用いた推算式(eGFR)により腎機能を評価します。それをもとに病期を5段階に分類し診療計画を決定します。治療のポイントについては以下の通りです。

@生活習慣の改善

禁煙。メタボリックシンドロームなどの内臓脂肪が蓄積する腹部肥満では、蛋白尿や腎機能低下をきたしやすく、CKDの発症と深く関係していることが報告されており、肥満の是正が必要です。

A食事指導

減塩(食塩摂取量6g/日未満)、蛋白制限(必要に応じて)

B高血圧治療

降圧目標は130/80mmHg未満。降圧剤は腎保護効果、尿蛋白減少効果が確認されているACE阻害薬かARBが第一選択薬として推奨されています。

C糖尿病、耐糖能以上の治療

厳格な血糖コントロールにより糖尿病性腎症の進展を抑制できることが明らかにされています。

D脂質異常症の治療

脂質異常症の治療により尿蛋白の減少と腎機能低下抑制が期待できます。LDLコレステロールは120mg/dl未満(可能であれば100mg/dl未満)にコントロールすることが重要です。脂質異常症治療薬であるスタチンには、蛋白尿や微量アルブミン尿を減少させる効果が示されており尿蛋白を伴うCKDでは積極的な仕様が推奨されています。

E貧血の治療

CKDが進行すると腎臓で造血ホルモン産生が低下するため貧血になります。貧血が進行したらエリスロポイエチンという造血ホルモン剤の注射を定期的に行います。

   CKDを予防するために

   早期にCKDを発見して、適切な治療を行えば、病気の進行を食い止めることができます。年に一回は健診を受けて、尿蛋白などの異常を認めたら必ずかかりつけ医に相談しましょう。また糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧などの生活習慣病に関連するCKDが多く見られるため、食事指導、生活指導による生活習慣の改善や、必要に応じて治療をおこなうことがCKDの予防に大切です。

  (T・S)

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平成21年6月1日 発行

  今年から眼科検診が始まります。今までは内科検診で、高血圧や、糖尿病、高脂血症などが見つかり、内科の先生からの紹介で、眼科検診を実施しておりましたが、今年からは、眼科独自でできることになりました。
   眼科検診が必要な理由は、40歳を過ぎた頃から、白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症などや、高血圧性眼底、糖尿病性網膜症など基礎疾患から発症する眼底病変により、就業年齢にもかかわらず、失明する可能性が高くなってきているからです。それらの疾患の早期発見、早期治療を開始するためにも、眼科検診の必要性は高まっているのです。
   検診の対象年齢は、今年は40歳から65歳までの5歳間隔の節目の方々です。
   検診項目は、必須項目と任意項目の8項目で、すべて両眼につき実施します。

   検査方法

@問診 自覚症状、既往歴、家族歴などを聞きます。

A屈折検査 自覚的または、他覚的屈折検査法で、屈折度を検査します。

B矯正視力検査 屈折検査に基づき、裸眼又は眼鏡等を使用している場合は矯正視力を検査します。
   矯正視力はすべての疾患で重要な数字です。眼にどんな変化が起こっても、矯正視力が低下することが多いからです。

C細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部) 細隙燈顕微鏡を用いて、角結膜、前房、虹彩、水晶体等を観察します。
   主に眼の前の方を観察し、角膜炎、結膜炎、虹彩炎、白内障等がないか調べます。

D精密眼圧検査 眼圧計を用い眼圧を測定します。

E精密眼底検査 散瞳(瞳孔を広げること)が可能か確認し、視神経乳頭及びその周囲組織を観察します。
   Cの部位より奥の視神経乳頭や網膜、硝子体等に異常がないか観察します。

F眼底カメラ撮影(フィルム及び現像を含む) 眼底撮影用カメラを用いて視神経乳頭を中心とした眼底を撮影します。

G前房隅角検査 隅角鏡を用いて隅角を構成する各部位及び前房深度を観察します。
   @からEが必須項目で、FGは、医師が必要と認めたときに検査します。
   白内障、緑内障、黄斑変性症とは、どんな病気でしょう。

白内障
  水晶体は、透明なたんぱく質と水でできていますが、このたんぱく質が、何らかの原因で変性して白く濁り、ものが見えにくくなる病気を白内障といいます。症状は、まぶしい、明るい場所でものが見えにくい。目がかすむ、ぼやける。細かい字が見えにくい。眼鏡が合わなくなった、などです。原因のなかで最も多いのは加齢です。初期の治療は点眼薬を用います。点眼薬では濁った水晶体を元に戻すことはできませんが、進行をおさえることができます。日常生活に支障をきたすようならば手術を行います。

緑内障
   視神経の束が眼球から脳に向かって出て行く部位(視神経乳頭部)が傷害される病気が緑内障です。視神経乳頭部が傷害されると、視野が欠ける(視野欠損)という症状が現れますが、初期にはほとんど異常に気づきません。眼圧がとても高くなると、眼の痛み、疲れ、頭痛のほか、光の周りに虹が見える、という症状が現れることもあります。治療は、タイプや時期により点眼薬、手術など、異なります。

黄斑変性症
   黄斑変性症は、視野の中心部がゆがんで見えたり、暗くなったりする病気です。網膜は眼底の一番内側にある膜で、無数の視細胞から成っています。網膜で最もものを見る機能が優れている部分が黄斑です。黄斑変性症は、個人差はありますが、比較的進行の早い病気です。このため、早期発見と早期治療が非常に大切です。
   是非この機会を利用して検診を積極的に受けることをお勧めします。

  (M・N)

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平成21年4月1日 発行

   一人の女性が生涯に産む平均の子供数(合計特殊出産率)を市区町村別にみると、目黒区が全国最低で0.74であることが、厚生労働省がまとめた2003〜2007年の人口動態統計特殊報告で明らかとなりました。

   どうしてこのような結果になってしまったのでしょうか?

   目黒区は本当に女性が産みにくい地域なのでしょうか。地方出身の一人暮らしの女性が多いという地域特異性があると言われていますが、このままでは子供のいない老人ばかりの町になってしまうのかと住人の一人として安閑としてはいられない気持ちになってしまいます。

   とはいえ出産数そのものが減少し、少子化社会となる状況は日本中どこでも変わりはありません。晩婚化により初産妊婦は20歳代が減少し、30歳代が増加の一途をたどっています。この傾向は生殖補助医療妊娠の増加と共にハイリスク妊娠の増加に拍車をかけることになっています。今の時代、こうした妊婦・胎児を守るため何らかの公的なバックアップはどうしても必要なのです。その中で今回は目黒区で行われている公的負担妊婦健康診査についての情報を提供いたします。

   妊婦健康診査(妊婦健診)の重要性

   妊婦健康診査は妊娠中の母児の健康管理を行うもので日本における普及率の高さは世界でも類をみないといわれています。実際に妊婦健診を受けている妊産婦と受けていない妊産婦を比べると死産率で2〜4倍、周産期死亡率で8〜15倍の差がでるのです。このような妊産婦の予後の違いから妊産婦健康診査が大変重要ということになります。

   妊婦健康診査の経済的負担を大幅に軽減

   ところで妊婦健診の受診回数ですが、大体平均14回位ですべて自費支払いが基本となるため、妊婦への経済的負担はかなり高いといえます。そこで各地方自治体から公的に妊婦健診を支援する目的で受領票というものが母子手帳交付時に一緒に交付されます。受領票は記載された問診・診察・検査・指導の対価を一定額で公的に支援する診察券です。その受領票の枚数や各種制限などは各地方自治体によりかなり異なります。従来、目黒区では妊婦健診に対して受領票枚数は3枚で妊婦前期に1回、後期に1回、35歳以上妊娠の超音波検査1回だけでしたが、平成20年4月から最大14回分妊娠健診受領票(1回5,000円〜8,500円分)と、年齢に関係なく超音波検査が1回受けられる受領票が交付されるようになりました。そのため妊婦さんは妊婦健診の際、妊婦健診代(各施設にて異なる)から受領票分を引いた差額だけを支払うことになり、妊婦健診全体で最大78,800円の経済支援を受けることができるわけです。

   フリーアクセスと里帰り等による妊婦健康診査の助成

   この受領票は目黒区内だけでなく東京都内(原則都外は不可)で当該受領票を扱う700以上の受託医療施設で使用することができます。

   また里帰り等により都外の医療機関で妊婦健康診査を受けられた場合でもその費用の一部を助成してくれます(未使用の受領票と領収書が必要)。

   出生率を上げるためには妊娠・出産・育児すべての面で安心して産める環境作りが大事です。具体的には妊婦健診や妊婦救急・分娩受け入れ先の確保、産後の支援としての保育園の拡充など根本的な問題点は山積しているのは事実です。こうした受領票による公的サービスだけで出生率増加に即つながるとは思いませんが、こうした情報がこれから妊娠・分娩をしたいと考えているご婦人の背中をちょっと押すことになったらいいなと思います。

  (J・T)

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平成21年2月2日 発行

  ある日突然手足がしびれたり、ろれつが回らなくなったり、激しい頭痛に襲われたり、歩けなくなったとき、まず第一に脳卒中を疑ってください。脳卒中は脳血管障害ともいわれ、脳血管が閉塞する病気(脳梗塞)と血管から出血する病気(脳出血、くも膜下出血)に大きく分けられます。発症から24時間が勝負ですので、すぐに頭部CTあるいはMRI検査を受け「病変部位」と「出血か梗塞か」を診断する必要があります。発症からの経過や神経症状から「出血か梗塞か」を判断することは専門医でも困難だと言われていますので、自宅で様子を見ないですぐに病院で検査を受けてください。

  東京都では昨年4月から脳卒中の医療連携体制の検討を始め、今年3月から救急隊による「迅速かつ的確な専門病院への患者搬送」が実施されることになりました。目黒区は渋谷区、世田谷区と同じ区西南都医療圏に属し、医療連携検討会に医師会からも参加してきました。3月からは救急隊員が脳卒中の疑いがあると判断したとき、認定を受けた専門病院以外へは患者を搬送しないことになります。

  ではここで脳血管障害の復習をしたいと思います。
  心臓から拍出された血液は4本の動脈(左右の内頚動脈と椎骨・脳底動脈)を通って頭蓋内へ入り、脳底部で前・後交通動脈でウイリス動脈輪を形成し前・中・後大脳動脈、上・前下・後下小脳動脈などに分岐します。これらの動脈から多数の穿通枝が脳内に入り、酸素と栄養を送り届けます。その後血液は静脈洞に集まり心臓へ戻ります。
  脳内の細い穿通枝が閉塞するとラクナ梗塞、出血すると脳出血になり、病変部位により異なった症状が出現します。ウイリス動脈輪を形成する主幹動脈が動脈硬化や不整脈などの原因で閉塞すると、閉塞血管で栄養されている広範囲の神経細胞が死滅するため多彩な神経症状が出現します。
  内頚動脈から分岐した眼動脈は網膜へ血液を送るため、眼底検査で網膜の動脈の硬化の程度を診ることにより頭蓋内の動脈硬化の程度を推測することが出来ます。
  脳は3層の髄膜(硬膜、くも膜、軟膜)で包まれていますが、くも膜と軟膜の間に出血するくも膜下出血の原因は脳動脈溜の破裂によることが多く、血性髄膜の刺激による激しい頭痛が特徴です。破裂した動脈溜は再出血しやすいため緊急で開頭術(脳動脈瘤頚部クリッピング術)が行われます。正常脳組織を傷つけないようにくも膜を剥離しながら脳動脈瘤に到達する難しい手術です。

  脳卒中を予防するにはどうすればいいのでしょうか。
  40才を過ぎたら若いときの生活習慣を見直して、年に1回は健診を受けてください。高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満、不整脈などを指摘されたときはかかりつけ医と相談し、バランスのとれた食事と体力に合った運動を心がけてください。頭痛、めまいなどの症状が続くときは早めに受診してください。頭痛、めまいなどの症状が続くときは早めに受診してください。冬寒い朝は特に血圧が変動しやすいので注意が必要です。

脳卒中は発症後24時間以内に専門的治療を受けないと、重篤な後遺障害が残る恐れがある疾患です。今回専門病院と救急隊の間で新しい体制が整えられたことは一つの進歩です。今後さらにリハビリテーション病院、在宅医療など社会復帰を目指した切れ目のない医療連携体制の実現に医師会も協力していきたいと思っています。

  (M・N)

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平成20年12月1日 発行

 メタボリック症候群が認知され、平成20年の春から特定健診が行われるようになり、糖尿病も重要なチェック項目の1つとなりました。現在、国内で糖尿病の可能性のある人は740万人と言われています。糖尿病の初期では自覚症状がほとんどないため軽視されがちですが、血糖値の高い状態が続くことで、色々な合併症をおこします。
 特に網膜症、神経障害、腎症は3大合併症と言われます。糖尿病は合併症が恐い病気なのです。

Q1 どうして目が悪くなるの?

 目の奥には網膜という神経の膜があり、多くの毛細血管があります。糖尿病になると血液中の糖が多く固まりやすいため、網膜の毛細血管を詰まらせたり、血管壁に負担をかけて、眼底出血をおこしたりします。そのため血液の流れが悪くなり、網膜に酸素や栄養素が不足し、糖尿病性網膜症となるのです。進行すると硝子体出血がおこり、失明する場合もあります。

Q2 目の合併症は他にもあるの?

 高血糖による末梢神経障害や代謝異常などにより、様々な合併症がおこります。白内障、血管新生緑内障の他に、黄斑症、屈折、調節異常、角膜障害、虹彩・毛様体炎、外眼筋麻痺、虚血性視神経症などがあります。

Q3 糖尿病性網膜症になると失明するの?

 糖尿病性網膜症になったからといって、すぐに失明するわけではありません。
 糖尿病性網膜症は網膜の状態などから進行の段階が3つに分けられます。単純網膜症から増殖前網膜症の段階ではほとんど自覚症状がないため、初期の段階で患者さん自身が目の異常に気付くことは困難です。このため、眼科で定期的な検査を受けることが大変重要になるのです。

Q4 糖尿病性網膜症で失明する人って、どのくらいいいるの?

 日本の後天的視覚障害の原因で最も多いのは、糖尿病性網膜症で、全体の17.8%をしめています。中途失明は、肉体的にも、精神的にも状況を受け入れることが難しく、日常生活の質が極端に損なわれることになります。

Q5 糖尿病性網膜症の治療には、どのようなものがあるの?

@血糖コントロール(内科にて)

Aレーザー光凝固術:網膜にレーザーを照射して、新生血管の発生を防ぐ方法です。この治療で視力が回復するわけではありませんが、網膜症の進行を阻止することができます。

B硝子体手術:硝子体出血や網膜剥離がおきた場合には、硝子体手術が必要となります。

Q6 失明しないためにはどうしたらいいの?

@治療の基本、血糖コントロールを続けましょう。

A糖尿病といわれたら、必ず眼科で検査を受けて下さい。自覚症状では目の状態はわかりません。定期検査を続けることが一番大切です。

  (Y・K)

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平成20年10月1日 発行

10月は、乳がん撲滅と検診を啓蒙するキャンペーン月間です。乳がんに対する意識を高めようとするこの活動のシンボルがピンクリボンです。

乳がんで娘を亡くした女性が同じ苦しみを繰り返さないようにと、ピンクのリボンを孫に渡したことからアメリカから拡まったとされています。

かつて日本では男女ともなりやすいがんは胃がんでしたが、食生活やライフスタイルの欧米化とともに乳がんは増加し、現在では日本人女性20人にひとりは乳がんになるといわれ、最もなりやすいがんです。

現在でも欧米に比べれば、罹患率・死亡率とも日本はまだ低いのですが、最近の増加は著しいともいえる ほどです。

検診の受診率も釣12%程度で、高いとはいえない状況が続いています。

食生活の変化や女性の晩婚少子化などライフスタイルの変化がすすむなか、今後も乳がんの増加は続くと予想されています。増え続ける乳がんの早期発見を訴える活動として、ピンクリボンのキャンペーンは日本でも2000年代から拡がってきているのです。


乳房の病気といっても、もちろん乳がんだけではありません。ですから、しこりに気がついたり、乳房のはりや痛みが気になった時は、あわてず病院を受診しましょう。乳腺の診察は外科が担当することが多いと思います。

乳腺の検査は触診(医師が乳房を直接触って診察する)のほかマンモグラフィー(レントゲン)と超音波検査(エコー)が一般的です。どちらも、それほど体に負担になりませんから、年配の方でも比較的受けやすい検査です。

乳腺の検査を受けると、のう胞(液体のたまり)や良性のしこりが見つかることも珍しくありません。女性ホルモンの過剰からなるとされる乳腺症もよくみられます。そのような時は、一年に一度程度の検査で経過を追っていくことをお勧めします。


最近の乳がんの治療の進歩はめざましく、万が一、乳がんが見つかった場合でもその治療法はさまざまです。

手術の方法も、かつてに比べれば摘出範囲を小さくする可能性も増えてきていますし、化学療法(抗がん剤)や放射線療法との組み合わせの選択肢もあります。

治療法は多様化して、乳がんの治療は”標準化から個別化へ”とまで言われはじめています。しかし、どんなに治療が進歩しても、早期発見の重要性は変わりません

乳腺に気になる症状がある時、なかなか診察を受けにくいということもあるかもしれませんが、最近ではそうした女性のデリケートな意識にも配慮して女性医師や女性スタッフで対応する施設も徐々に増えてきていますから、恥ずかしがったり一人で悩んだりせずに受診してください。

  (I・H)

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「お肌と紫外線」
平成20年8月1日 発行

紫外線は浴び過ぎると健康に悪影響をもたらします。

直ぐ起きる症状の代表は「日焼け」でしょう。強い日差しに 当たると数十分〜数時間で赤くなり(サンバーン)、人によっ ては水ぶくれになります。数日後、サンバーンが落ち着くと、 こげ茶色(サンタン)が数週間から数ヶ月続きます。同時に目 も日焼けし、結膜の充血異物感涙が止まらないなどの症状、 ひどい時は痛みを伴います。また紫外線により免疫力が低下し て「口唇ヘルペス」が出来ることがあります。またある種の飲 み薬や塗り薬を使用した後日光に当たると通常なら何も起こら ないような少量の紫外線でも皮膚炎が起こる「光線過敏」があ ります。

長期間繰り返し紫外線を浴び続けると、肌の老化が促進され シミやシワ、たるみが進みます。白内障や良性、悪性を問わず 皮膚腫も出来やすくなります。子供の頃に大量に浴びた紫外線 の影響が数十年後に現われるわけですから、幼少期から紫外線 に注意する必要があります。外で元気よく遊んだり、学生時代 に部活などで野外で活動するのはもちろん大切ですが、これに より一生で浴びる紫外線のうちの半分を二十歳までに浴びるこ とが分かっています。

紫外線を防ぐには……。

@紫外線の強い時間帯の外出を避ける

日本では6〜8月の午前10時〜午後2時、特に正午頃に最も 強くなります。晴天はもちろん、曇天でも降り注いでいますの で注意が必要です。

A日傘や帽子・サングラスなどを使用する

帽子をかぶると眼への紫外線量が20%減少し、サングラスや 紫外線カットレンズ眼鏡をかけると90%減少します。日傘や帽 子は直接あたる紫外線を遮りますが、大気中で散乱している紫 外線は防げません。日傘や帽子を使う際も日焼け止めクリーム は併用して下さい。また、長袖の着用も有効です。

B日焼け止めクリームを使用する

日焼け止めは、「紫外線吸収剤」を使用したものと、「紫外線散乱剤」を使用したものの2種類に分けられます。「紫外線吸収剤」は白くならない反面、かぶれることがあります。「紫外線散乱剤」はかぶれにくいのですが、白くなりやすいのが 特徴です。お子さんや敏感肌の方は「紫外線散乱剤」製品を 選ぶとよいでしょう。『紫外線吸収剤フリー』『ノンケミカル』 などと表示されています。また日焼け止めに表示されている 『SPF』の値が高いほど日焼けを起こすUVBを防ぎます。 『PA』は(+)〜(+++)の3段階あり、(+)の数が多い ほどシワの原因となるUVAを防ぎます。夏と冬で違いはあり ますが、日常の買い物や洗濯物を干したりする程度であれば、 SPF15〜30で十分です。夏に屋外で過ごす場合はSPF40〜50、PA+++のものを使いましょう。汗を多くかく時や、泳 ぐ時は耐水性の製品を使いましょう。日焼け止めは塗る量が少 ないと十分な効果が得られません。顔に使用する場合はクリー ム状のものなら真珠2粒分、液状のものなら1円玉大2つ分を まんべんなく塗り延ばして下さい。体もムラがないよう均一に 延ばします。特に日焼けしやすい鼻、頬骨、肩などは念入りに。 汗をかいたり、タオルで拭くと取れてしまいます。すぐに塗り 直すか、2〜3時間おきに重ね塗りすることをお勧めします。

  (K・O)

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「こどもの健康教室」と「特定健診」
平成20年6月1日 発行

こどもの健康教室を立ち上げて

目黒区医師会は地域活動の一環としてこどもの健康教室を立ち上げました。

目黒区ではセーフティーネットとしての子育て支援などを行っていますが、当医師会は視点を変えて、昨年12月より小児科医が中心となり、毎月第3土曜日の午後2時から午後3時半まで、医師会館2階のこどもプレイルームにて健康教室を開いています。

その内容は、小児科医2〜3名と、Q&A形式で@かかりつけ医を持つことの推奨、Aお母さんお父さんはこんな時どう対処したらよいか(夜間発熱したとき、吐いたとき、下痢したとき、咳込んだとき、お腹を痛がるときなど)、B予防接種の見直しなどです。またお遊びタイムとして年齢に合った絵本を読み聞かせ反応を聞いたり、折り紙、お手玉、めんこなど興味をひくよう心がけております。

毎年、こどもの日に全国の15才以下のこどもの数が発表され、今年は1725万人で前年より13万人減り、27年間連続の減少です。目黒区も昨年の出生数は1889名で年々減少しています。区立H小学校の今年の新1年生は39名で、ついに1クラスとなりました。おとなたちがこどもをますます大事にし、目黒区小児科医会では少しでも健やかに育成されることを願っています。ぜひ一度ご参加ください。

  (N・O)

目黒区特定健診について

今年から、新たに特定健診・特定保健指導が始まります。

従来の健診は、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)の患者さんを早期に発見し、治療することが目的でした。今年からは、特定健診により生活習慣病の予備軍とされる内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の人達を選別し、特定保健指導により、その生活習慣を改善させ、生活習慣病の発症を予防することが目標となります。

一方、厚生労働省から示された特定健診の原案には、メタボリックシンドロームの診断に必要な検査項目のみしか掲げられておらず、従来の健診と比べ、かなり見劣りのする内容でした。また、75歳以上の後期高齢者に対する特定健診は努力目標とされ、各自治体の状況によっては、必ずしも実施しなくても良いというものでした。

目黒区医師会としましては、区民の皆様の健康管理を従来通り継続してゆくため、目黒区との交渉を重ね、胸部X線写真、心電図、尿潜血検査、貧血検査、血液生化学検査のうちクレアチニン(腎機能)、尿酸(痛風)、ヘモグロビンA1C(糖尿病)などの検査項目を上乗せして実施することになりました。これにより、ほぼ従来通りの検査項目がチェックできると思われます。また、75歳以上の後期高齢者についても、74歳以下の方と同じ内容の健診を実施していただくこととなりました。

なお、目黒区では特定健診・特定保健指導だけでなく、各種がん検診も、引き続き無料で実施していただくこととなりました。目黒区医師会は今後とも、健診(検診)の無料実施の継続を強く要望してまいります。

  (Y・H)

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花粉症について
平成20年4月1日 発行

花粉症とは?

花粉症とは花粉が原因で起こるアレルギー性の炎症で、主に鼻と眼に症状が出ます。鼻の症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼の症状はかゆみ、充血、涙目です。現在、日本人の二十パーセントが花粉症だと言われていますが、世界三大花粉症としてイネ科花粉症、ブタクサ花粉症、スギ花粉症があり、スギ花粉症は日本に特有のものとされています。

第二次世界大戦後、全国的に多くのスギの木が植林され、その杉の木が樹齢三十年を超えた1975年以降スギ花粉症患者は増加傾向にあります。花粉症患者が増えた原因としては、第一に、スギ花粉の増加があげられますが、他にも食生活や生活環境の変化、精神的・肉体的ストレス、アレルギーを起こしやすい体質などが考えられます。

花粉症対策

●花粉を避ける

なんといっても原因となる花粉を避けることです。外出は花粉の飛散量が少ない早朝や夕方にずらし、外出時にはマスクやゴーグル型の眼鏡をかけ、帽子をかぶって花粉をシャットアウト、服は花粉のつきにくい素材のものを選び、静電気帽子スプレーを使ってなるべく花粉がつかないように気をつけてください。帰宅したら家に入る前に頭や服についた花粉をよく払ってから入りましょう。

また、洗濯物や布団は花粉がつくので外に干さないように、干した場合はとりこむ前によく花粉を落としてからにしてください。室内では空気清浄機を使うと効果的です。

●花粉症の治療━薬物治療

一般的な花粉症の薬には内服薬と外用薬(点鼻薬と点眼薬)があります。内服薬には大きく分けると予防的に使えるものと、出た症状を抑えるものがあり、花粉が飛び始める二週間ほど前から飲み始めることによって、ある程度症状を軽くすることができます。症状が出てしまってからはアレルギー症状を起こす物質であるヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬があります。こちらは即効性はありますが、副作用として眠気が出ますので注意が必要です。眠気があまり起こらない第二世代抗ヒスタミン薬も開発されています。

━減感作療法

これは花粉のエキスを低濃度からわずかずつ定期的に注射して体を花粉に慣らしていくことでアレルギー症状を出にくくする治療です。欧米では古くから普及していますが、長期間何度も通院する必要があり、稀にアレルギーショック症状が起こるという欠点があります。現在は舌下減感作療法といって、注射ではなく舌の上に花粉エキスをたらして減感作を行う方法が実用化に向けて研究されています。

━ワクチン

有効性や安全性が確認できれば実用化は可能とされ、こちらも研究開発中で期待の持てるものと思われます。

現在出ている症状が花粉症によるものかどうかは医療機関で診療を受けないと確実ではないですが、市販薬を使うにしても、医療機関にかかるにしても、または食品やサプリメントで改善をはかるにしても、まず予防、そして早めの対策が重要です。

  (M・K)

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C型肝炎ウイルスとB型肝炎ウイルス
平成20年2月1日 発行

 ウイルス肝炎の歴史

 わが国の国民病と害われているウイルス肝炎の歴史は古い。

 B型肝炎ウイルスが発見されたのが1964年、同様にC型肝炎ウイルスが発見されたのが1984年です。1964年以前は輸血を受けると肝機能障害が起こることから、輸血後肝炎と言われていました。輸血後肝炎には少なくともB型、C型二種類のウイルスが関与していることが分かっていました。

 B型肝炎は感染後、慢性肝炎に移行するのは約10%程度ですが、C型肝炎は約80〜90%が慢性肝炎へと移行してしまいます。B型肝炎に対してはその発見も早かったため、研究も進み現在ではHBワクチンが開発され、B型肝炎は激減の方向にあります(現在わが国にはB型肝炎ウイルス陽性者が150万人以上いる)。

 一方、C型肝炎は一般に発症が満やかで、症状も軽く気がつかないうちに慢性化してしまいます。一度慢性化すると長い時間をかけて悪化し最終的には肝硬変症、肝細胞癌へと進行することが多く、恐れられています。しかし現在は色々な治療法が開発され、その進展を抑える方法があります。例えばインターフェロン(IFN)療法、IFN十リバピリン療法、PEG(IFNを一週間に一度注射するだけで良い)等で、6割強の人のウイルスを駆逐する事が出来るようになって来ました。

 ところで、C型肝炎ウイルスの感染路ですが、このウイルスは血液を介して感染します。血液を介するので当然輸血が問題となります。また輸血でなくても他人の血液から作られた血液製剤も同様です。現在テレビ、新聞等で間楚となっている薬害肝炎問題は献血者の血液中C型肝炎ウイルスをチェックせずにウイルス陽性者の血液を用いて作った血液製剤を投与したために起こった社会問題です。

 1984年以降の血液製剤で、ウイルスをチェックすれば出来たのにも拘わらずそれをしなかった、製薬会社と国の兼任が問われているのです。C型肝炎には血液を介さずに感染する場合もあります。それを散発性肝炎″と呼んでいます。例えば注射針の使いまわし、鍼灸治療、人工透析、歯科治療、入れ墨、ピアスなどでも感染する可能性があります。入浴、握手、食事などでは感染しません。またウイルス陽性の母親からの母子感染、陽性者との性感染はゼロとは害えませんがB型肝炎ウイルスと異なり、極めて頻度が少ないと言われています。

 肝炎ウイルス検診について

 C型肝炎ウイルスに感染すると完治する人は少なく、ほとんどの人が慢性肝炎へと移行します。そこで大事なことは、いち早く自分がC型肝炎ウイルスに感染しているかいないかを知ることです。特に1984年以前に輸血、血液製剤の投与を受けた人、或いは大きな手術を受けた人、難産で出血の多かった人、または過去に肝機能障害を指摘された人は医師と相談すると良いでしょう。もしそこでウイルスが陽性と言われたら肝臓の専門医を訪れ現在のご自分の状況にあった治療法を選択し、肝硬変に進行しないよう治療すること、またウイルスを駆逐することが肝心です。

  (F・S)

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乳腺症について
平成19年12月1日 発行

 乳房の硬さや痛み、気になるときがありませんか?
乳腺について外来を受診される患者さんのなかで、よくある症状は、はっきりとした腫瘤(しこり)というよりも、むしろ乳腺の脹りや痛みです。
その原因として最も多くみられるのが乳腺症です。

 乳腺症は、女性ホルモンのエストロゲンの過剰が原因とされ、月経との関連が密接です。
比較的若い年代にみられ、月経前に特に乳房が脹ったり痛みが出るなどというのがよくある症状です。そのような症状は月経直前に特に強く、月経が始まると症状が軽減されることが一般的です。

 症状は左右の乳房両側にみられることが多くマンモグラフィー検査や超音波検査で明らかな腫瘍がないことが確認されれば、特に治療の対象とはなりません。
痛みといっても、持続するというより月経周期に伴って増減することが多く、また鎮痛剤を必要とするような強い痛みになることはほとんどありません。

 女性ホルモンのエストロゲンが原因と考えられているので加齢とともに症状は緩和されていく傾向にあり、閉経後の女性には稀です。

  乳腺症の硬さ(硬結)はしばしば触診では乳腺の腫瘤と区別するのが難しいことがあります。
乳腺の硬さや痛みが気になる時は、1人で悩んだり恥ずかしがったりせずに乳腺外来を受診してみてください。
マンモグラフィーや超音波検査で多くは乳癌の腫瘤(しこり)と区別できます。鑑別が困難な時はMRなどの精密検査を行ったり、最終的には針を刺したり組織の一部を取って調べることで診断をつけることができます。
自分ではさほど痛みや脹りを自覚していなくて乳癌検診で指摘されることも多いのですが、検診で精査が必要といわれてもあわてたり過剰に不安に思ったりせず、乳腺外来を受診してください。

 乳腺症の方は、乳腺の硬さのためにしこりが出来た時にわかりにくく、見つかりにくいという傾向があります。
乳腺症と診断されたら、1年から2年ごとのマンモグラフィーと超音波検査で経過を観察していくようにおすすめします。

 乳腺の病気はなかなか相談しにくいデリケートなところかもしれません。そうした患者さんの気持に配慮して最近は女性医師や女性スタッフをそろえた女性外来も増えつつあります。
気になる時は早めの受診をぜひ心がけてください。
また受診される時は、月経直後で乳腺の硬さや脹りが軽い時期に受診するとより正確に触診できますし、検査もスムースに行えます。

  (H.I.)

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チャドクガ
平成19年8月1日 発行

 大輪の鮮やかな赤い花を咲かせるツバキは初春の寒い季節の中わたし達の目をとても楽しませてくれる園芸植物ですが、花が咲き終わってからの季節はツバキやわたし達にとって厄介なおじゃま虫が出てくることがあります。
 
 ツバキやサザンカの葉の裏にびっしりと毛虫が付いているのを見たことがあると思いますが、これはチャドクガ(茶毒蛾)というドクガ科の蛾の幼虫です。この毛虫は4月から10月頃まで年2回の発生がみられ、また毛虫の時から親虫の蛾まで毒針毛という肉眼では確認できないほどの小さな毒針を多量に持っているために、不用意に毛虫に触れてしまったり灯火の下に飛んできた蛾に触れてしまったりすると、半身に及ぶほどの広範囲の強いかぶれを引きおこします。 皮疹は刺されてから数時間後より始まり、非常に激烈なかゆみを伴い、無治療の場合は数週間にもわたり皮疹とかゆみが続くこともあります。治療は近くの医療機関を受診してステロイド外用剤や抗ヒスタミン含有外用剤を使用して下さい。子供の場合は季節的に掻きこわしの後から「とびひ」を併発することもあるので早期の治療が望まれます。毛虫の付着してしまった服は普段通り他の服と洗濯して大丈夫です。洗濯することで針の毒性も消えてしまうようです。

  チャドクガの対処で重要なことは予防です。4月までにツバキの葉の裏に卵塊を見つけたら切除しておくと良いでしょう。孵化しても若齢幼虫のうちは葉の裏に群生しているため切除しやすいのですが、成長して幼虫が大きくなると他の葉へ拡散してしまい、こうなるともう殺虫剤の使用しかないでしょう。この場合風向きなどに気をつけないと一斉に糸を吐いてぶら下がり毒針毛が拡散されて皮膚炎を生じることもありますので気をつけましょう。またさなぎの抜け殻や死んだ虫体にも毒針毛は残っていますので処分には十分気をつけて下さい。

  ところでここ数年このチャドクガの幼虫が大発生しているのをよく見ます。公園や家の壁面などにさなぎとなる場所を探して大移動している大量の終齢幼虫で、こういった幼虫に不用意に近づくと頭を左右に振って毒針毛を飛ばす運動をします。通学路や学校の植木に発生すると学童に被害が及ぶことも考えられます。春に見落とすと秋に大発生する可能性がありますので、庭木にツバキやサザンカのある方は気をつけておくとよいでしょう。

  (Y.I)

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麻しん(はしか)が流行しています!あなたやあなたの家族は大丈夫ですか?
平成19年6月1日 発行

 現在、東京都では、麻しんが流行しています。特に10代、20代の方の麻しんが増加しており、高校や大学で集団発生による学校閉鎖も報告されています。

 麻しんは非常に感染力の強いウイルス感染症で免疫を持っていない人が暴露を受けると、90%以上が感染してしまいます。特別な治療法はなく、肺炎や脳炎を起こして重症化することもありますので注意が必要です。

 予防にはワクチンが非常に有効です。

 麻しんワクチンは免疫効果が高く、麻しんの発症の予防や重症化の予防が期待できます。

 麻しんにかかったことがなく、麻しんワクチンを接種したこともない方は、お近くの医療機関で早めに予防接種を受けましょう。

 麻しんにかかったことがなく、麻しん患者と接触があった方は接触して3日以内なら至急予防接種を受けましょう。

 ワクチンを接種してから10年以上経過した方は、麻しんウイルスに対する免疫が低下しているといわれています。もし麻しん患者さんと接触し、3日以内であればワクチンで予防できますので至急予防接種を受けてください。もし3日以上たっている場合は、麻しんに感染した可能性があります。潜伏期間は7〜12日といわれます。

 出来るだけ外出は避け、体温を測るなど体調をチェックしましょう。

 発病初期は特徴的な症状はなく、風邪と間違われることがあります。
発熱(37.5度以上)やせきなどの症状が出た場合には、学校や会社を休んで早めに医療機関を受診してください。(受信時は事前に電話で麻しん患者に接触したことを伝えた上で、受信の仕方を必ず確認しましょう。)発疹が出てから4〜5日間は人にうつすおそれがありますので、外出はさけましょう。

 麻しんにかかったことがある方、もしくは40歳以上の方

 麻しんにかかったことがある方は免疫ができていますので特に心配することはありません。また今年の流行の年代や抗体の保有状況などから、40歳以上の方は麻しんにかかる可能性は一般的に低いと考えられています。

 何かご心配なことがある方は、かかりつけの医療機関か保健センターに相談しましょう。

  (N・H)

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身近にメンタルな問題をかかえている人はいらっしゃいませんか?
平成19年4月1日 発行

 メンタルな問題については、一般の方はよかれと思って、実はほとんどの人が逆のこと、つまりしてはいけないことをなさっています。「よかれと思って」というのと「ほとんどの」というのが問題なのです。

 たとえばうつ病で元気のない人が、会社や学校を休んでいたり、外にも出られない状態だったとします。そんな時周囲は、こんな生活をしていたら治るものも治らないのではと心配して、食事や旅行に誘ったり、励ましたり、あるいはやる気がない、甘えだなどと決め付けるなど、10人いれば10人の人がそれぞれの立場から「よかれと思って」さまざまな助言をしがちです。

 実は、病んでいる人は周囲に言われるまでもなく、本人自身が何も出来ない自分をふがいないと責めています。ですからまわりが叱咤激励することは、本人のそのような気持ちに駄目押しをすることになります。

 確かに家にずっとこもっているよりも、外の空気を吸った方がいいに決まっています。ところが精神的に疲れた状態では、意欲も落ちて、たとえやりたいと思っても行動が伴わないのです。健康な時なら、気分転換の方法はいろいろあります。ただしこころが病んでいる時には、健康な時のストレス解消法と同じに考えるのは誤りです。

 そのような場合には、ゆっくり休ませてあげるのが正解なのです。本人はそっとしておいて欲しいと思っています。

 そんな甘いことでは、とあるいは思われるかも知れません。ではそれなら厳しくしたら治るかというと、そうは行きません。それは相手にストレスを与えるだけで逆効果です。くれぐれも自分流で何とかしてあげようとは思わないことです。

 折角治療を受けに行ってくすりをもらって来ても、そんなくすりは飲まない方がいいのではと周囲から言われることもよくあります。もし相手の不安が強く、いろいろ訴えられた時には、こちらが一方的に言うのではなく、よい聞き役でいていただきたいものです。

 一般にメンタルなことでの疲れは、回復するまでには、それなりの時間が必要なのです。援助は相手の二−ズに合わせてするのが基本だと思います。もし身近にメンタルな問題をかかえている人がいらっしやる場合は、くれぐれも「余計なお世話」にならないように、是非「質のよい見守り」をしていただきたいと思います。

  (T・S)

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夜間頻尿に関して
平成19年2月1日 発行

 夜間トイレに起こされ安眠が妨げられると、お悩みの方はいらっしゃいませんか?年のせいと半ば諦めかけていらっしゃる方も多いはず。一昔前までは、寝床のそばにしびんを置いて、寒い夜中にトイレまで行かずに済ませていたと聞いています。

 生理的にも年齢とともに動脈硬化が進み、夜間でも腎血流量調節機能の低下から薄いお小水(希釈尿)が造られ、夜間多尿になってしまいます。また、昼間あまり運動されないと、下肢の筋肉運動によるポンプ機能が落ち、目に見えない浮腫みとなって、夜間、横になることによって腎血流量の増加を招き夜間の尿量増加となって現れます。一方、下垂体からは、夜間はお小水がでないようにする抗利尿ホルモンが分泌されますが、年齢とともに多少分泌リズム(日内変動)に狂いが生じます。それ以上に、お酒、寒冷刺激が、抗利尿ホルモンの分泌を抑制して、多尿になってしまうのです。お酒を飲んだあとや寒いとトイレが近くなるのは、このためなのです。さらにお年寄りになると口内乾燥が現れるため、多飲になったり、寝る前のコップ一杯の水を拡大解釈して、大量に飲まれる方も見うけられます。いずれにしても、多尿によるため、一回尿量は十分で、回数が多いだけです。

 ただ、注意を要するのは、糖尿病が隠れていないかどうかです。

 次に、眠りが浅いことによる頻尿があげられます。本来、熟睡していれば、尿意は遠のくので、膀胱がぱんぱんに張って初めてトイレに起こされます。ところが、熟睡できない方は、日中と変わらず、100ml程度でトイレに起こされます。ちょこまかちょこまかトイレに起きるパターンです。お年寄りになると不眠症の方の頻度も増え、トイレに行くから、眠れないのか、眠れないからトイレが気になるのか、我々でも悩むことがあります。

 最後に、泌尿器科的疾患として、男女を通じて過活動膀胱(急に尿意が襲ってきて、漏らしそうになったり、水の流れる音を聞くと小水が出たくなったりする)、神経因性膀胱、男性なら前立腺肥大症、などがありますが、寝る前に前もって、トイレを済ますことが出来なかったり、病院で検尿の際、お小水が出ないと粘っている方が泌尿器科的疾患をお持ちのようです。泌尿器科的疾患の場合は、概して尿意がないとお小水が出せないのです。逆に、尿意がなくても、前もってトイレを済ませられれば、まず、泌尿器科的疾患は心配要りません。

 以上からおわかりのように、夜間頻尿の場合には、尿量が多いためにトイレに行く場合と、ちょこまかちょこまか行く場合があります。的確な診断さえつけば、夜間頻尿は改善できます。一度、専門医を受診してみてください。年のせいだと諦めないで下さい。

  (T・I)

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便潜血反応と大腸癌
平成18年12月1日 発行

 食生活の欧米化によるものか、わが国でも大腸癌が増えてきました。やがては、胃癌よりも大腸癌が多くなるだろうと予想されています。大腸は長い管なので、癌が出来る場所によって、症状が異なりますが、便秘になってきたり、便が細くなったり、排便後も便が残っているような感じがしたら、要注意です。

 また、便に血液が付いていたり、排便時に出血すると痔だと思いがちですが、(もちろん痔の可能性もありますが)大腸に他の病気があるかもしれません。

 また、このような明らかな症状無く、健康診断時に便の検査で見つかることもあります。便潜血反応と呼ばれる検査で、便の一部を採り、中に血液が含まれているかどうかを調べます。1回だけでなく、2回調べる方が正確に診断できるので、多くの健診では2日分を調べる方法が行われています。

 大腸癌や大きなポリープは表面がもろくて出血しやすいので、便中に含まれる血液の量が多ければ陽性(癌の可能性がある)、少なければ陰性(可能性が少ない)です。ロから肛門まで、どこから出血しても便潜血反応は陽性になる理屈ですが、口から胃までの間では相当大量の出血が無ければ陽性にはなりません。

 ですから、便潜血反応が陽性とは大腸に出血するような病気があると考えなければならず、大腸の精密検査が必要です。検査にはX線を使った注腸造影の内視鏡検査があります。

 特に内視鏡検査は組織の一部を採って悪性の細胞が含まれるかどうかを調べることができるので、大変有力です。ポリープすなわち悪性の病気ではありませんし、すべてのポリープがやがて大腸癌に変わってしまうわけではありません。どのようなポリープかを見分けるためにも、組織の検査ができる事が望まれます。

 大腸癌ができると血液中に増える物質(腫瘍マーカー)には、CEAやCA19−9がありますが、いずれもそれ程敏感なものではなく、これらで癌の有無を判定する事は余程大きな大腸癌でない限り、無理だとお考え下さい。

  (W・H)

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目薬の話
平成18年8月1日 発行

 風邪をひいたからといって、胃腸薬を飲む人はいませんが、目が痛むと中味はともかくまず目薬で、目薬はどうも軽く見られている気がします。そんな訳で本号は目薬の話です。

 目薬は何滴つける?

 1回に1滴です。普段、目の表面にある涙の量は8μl、これは1000分の8mlで、泣いたときの涙と違ってほんのわずかです。ところが目薬の1滴はこの数倍の50μl、目薬をさすということは、コップの水を勢いよくおちょこに注ぐようなもので、大半は外にこぼれるだけなのです。少ししか入らなかったからもう1滴とか、つけた気がしなかったからもう1滴という考えはやめましょう。

 ちなみに目薬は20滴で1ml、普通の目薬は5mlですから1本には100滴が入っている勘定になります。もちろんメーカーや、目薬の出し方によってばらつきはありますが、両目に1日2回点眼をしていると、1本で25日もつことになります。

 目薬はまずい?

 確かに目薬には味があります。苦いもの、甘いものと様々ですが、さすがに美味しいという人はおりません。目薬をさすとこれが鼻涙管という管を通って鼻に入り、ここから咽や舌のつけ根までいくと薬の味を感じます。

 しかし、目薬とは本来目に入れるもので、咽まで入るということは、あまりよいことではありません。とくに緑内障の薬は鼻や咽から全身に吸収されると、心臓や気管支に悪さをすることがあるので、注意して下さい。これを防ぐには点眼をしたら5分くらい目頭の鼻涙管の部分を押さえておくと、薬が鼻にまわらなくて安全です。

 目薬の順番は?

 2種類の目薬を使う際には、どちらを先につけても結構です。ただし、一つの目薬をつけた後に、すぐ2つ目の薬をつけると、せっかくおちょこに入れた薬を、次の薬で洗い流してしまうことになります。最初の目薬が効くように、5分以上待ってから二つ目の薬を使うようにしましょう。

 足の先っぽにおできができた時に、抗生物質を飲むと治りますが、飲み薬はおできとは無関係の身体中にもまわります。でも目薬とは最初から決まった目的地に薬を選ぶ効率のよい方法なのです

  (H・T)

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区民のみなさん健診を受けましょう!−なるべくお早めに!−
平成18年6月1日 発行

 毎年目黒区区民健診が行なわれていることをご存じですか?この健診は区民の皆様が、健康状態をご自分が知るために大切なものです。本年から後で述べますが、65歳以上の人はすべて健診を受けられます。

 健診の対象年齢は、40歳より5年おきと、55歳以上は毎年受診出来ます。しかし例外があり、会社などで健診を受けられる社会保険本人は、区の健診対象から除かれています。受診期間は6月1日より11月30日までの6ヵ月間で、5月の末日に受診券が目黒区より送られてきますので、明記されている医療機関で受けて下さい。

 検査項目は生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)を中心に、身長・体重、心電図、胸部X線検査、貧血、肝機能、腎臓病、痛風の検査を一般健診としております。さらに一般健診で生活習慣病があれば、眼科で各疾病の程度を調べる眼底検査も受けられます。

 がん検診は、便潜血反応検査(がんなど大腸に血液が出る病気の有無)、胸部X線検査(肺や心臓の病気の有無)が毎年受けられます。肝硬変、肝臓がんの原因の肝炎ウイルスの検査は5年に1度の検査ですが、輸血を必要とする手術を受けた人や、肝臓能検査のある場合はその時に受けられます。子宮がんの検診は2年に1度となってしまいました。65歳時に前立腺がんの検査も受けられます。胃がん検診はほぼ1年中受診可能ですが、年齢は61歳以上、1ヵ月間に検査を受けられる人数は決まっていますので健康推進課に直接連絡するか、月2回出る目黒区報の末尾に小さく記載されているお知らせを参考にしてください。乳がんに関しても同様です。

 18年度より65歳以上すべての区民を対象に、元気で過ごせるように生活機能基本チェック(別名おたっしゃ健診)が一般健診と同時に始まり、その書類は健診の書類とともに送られてきますので、必要事項を記入し受診してください。その結果、運動機能が低下している方や、栄養指導が必要な方は、筋肉トレーニングなど多少費用がかかりますが受けられます。

 健診を受けて病気が発見されることを怖がらずに早期発見・早期治療につとめ、本人・家族が受けるリスクを最小限にとどめてください。

 健診は11月30日までですが、10・11月は風邪が流行し始め、インフルエンザワクチンの接種が始まり混雑しますので、健診を希望する方は事前に医療機関にお問い合わせの上、なるべく早めの受診をお願いいたします。

 (T・H)

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睡眠の話
平成18年4月1日 発行

 快食、快眠、快便は健康のバロメーターです。さまざまな原因でこの生理的なリズムに狂いが生じます。ナポレオンが3時間しか眠らなかったというのは有名な話ですが、いっぽうでふだんは8時間寝ている人が6時間しか眠れなかっただけで、寝不足と感じられます。睡眠時間は個人差が非常に大きく、1日に何時間眠ればよいかという決まりはなく、その人が辛くなければ何時間でも構いません。

 統計的には睡眠時間は、成人の85%は6〜8時間ですが、年齢によっても随分違います。寝る子は育つといわれるように、赤ちゃんは眠るのが仕事です。小児は9〜10時間、10歳代は8時間、20〜30歳代は7時間、60歳代では6時間と、年をとるにつれ少ない睡眠時間で足りるようになります。

 健康な時には、それぞれの人に合った睡眠法があります。寝酒の効用もあります。ただし精神状態がよくない時にアルコールに頼ると、酒量がエスカレートしたりして問題となることがあります。

 睡眠薬は偏見がもたれています。せっかく医師から睡眠薬を処方されても、周囲からは「そんな薬は飲まないほうがいいのでは」と言われてしまうことも少なくありません。
 調子の悪い時には、かなり強い薬を処方しても「先生、あの薬はちっとも効きません」と言っていた人が、良くなってくると薬は変わっていないのに「先生、あの薬は強すぎます」と訴えるようになります。つまり睡眠は本来人間が持っている生理的なリズムですから、最後は睡眠薬などに頼らなくても自然に眠れるようになります。

 不眠症の人は、夜になると「今晩もまた眠れないのでは」と不安になって、意識すればますます眠れなくなります。

 不眠症には(1)寝つきが悪い入眠障害、(2)途中で目が覚めてしまう中途覚醒、(3)朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒、(4)熟睡感がない熟眠障害などがあります。まずは何で眠れないのか、原因を考えます。そしてそれぞれのパターンに合わせた薬物が処方されます。睡眠をとれないと翌日に響きますし、不眠が続けば悪影響が出ます。日常生活を改善するとともに、医師に相談して、上手に睡眠をとることも大切です。

(S.T)

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花粉症は大丈夫?
平成18年2月1日 発行

 今年もまた春の花粉症の時期が、近づいてきております。春の花粉症の代表的なものは、ご存じの通り「スギ」が有名ですが、この時期は、スギよりも早めに飛ぶ「ハンノキ」や遅めの「ヒノキ」、暖かくなってくると雑草類の花粉が飛散したりします。

 アレルギー性鼻炎には、花粉症のように季節性のものと、一年中症状のある通年性があります。通年性の原因は、ダニ、ほこりなど、季節性では、春の花粉以外にも秋のブタクサなどがあります。

 もともとぜんそく持ちの方は、通年性、季節性に限らず、アレルギーで鼻炎症状とぜんそく症状が合併し、鼻が詰まることで口呼吸になり、さらにぜんそくが悪化するといった悪循環をたどるケースもあります。また、鼻炎症状が続くことによって耳にも影響が出ることがありますし、鼻水、鼻づまりを放っておくと場合によっては副鼻腔炎を二次的に起こしてしまうことがありますので、鼻炎症状が出てきたら軽いうちに耳鼻咽喉科医に診てもらうなど、早めに対処する方がよいでしょう。

 アレルギーの診断には問診や視診も大事ですが、血液検査などである程度はっきりさせることができます。血液検査の場合は、わかりやすい結果の用紙をもらえる事が多いので、他の診療所、病院にかかるときのとても貴重な情報です。症状に悩まされている方は、一度きちんと確認してもよい検査ではないでしょうか。

 アレルギーの治療にはいろいろありますが、まずは薬にたよらずに原因(抗原)から回避、除去するように努めることや体にストレスをかけないようにすることです。それだけでも症状をかなり軽くすることができます。花粉の多く飛ぶ日や時間帯は外出をさける、外出の際はマスクやめがねをする、規則正しい生活をこころがけるなど、できることはやってみましょう。

 治療は、耳鼻咽喉科では鼻の処置やネブライザー(吸入)、内服薬、点鼻薬を組み合わせて行います。また、外来手術として下甲介焼灼術(レーザーなどによる)を行っているところもあります。花粉症のように飛散する時期がある程度予測できる場合は、花粉の飛散する1〜2週前から抗アレルギー薬を内服するなどの対策が効果的です。医師とよく相談の上、自分にあった治療法を選択されると良いでしょう。

(F・R)

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インフルエンザについて-予防が大切-
平成17年12月1日 発行

 今年もインフルエンザの季節がやってきました。そこで今回はこの病気の特徴について少しお話ししたいと思います。インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染により発症する伝染性の病気です。普通のかぜと比べて症状が重く、人から人への感染力も非常に強く世界規模で流行することもあります。インフルエンザの語源はこの病気の流行が周期的に現れることから、16世紀のイタリアの星占いたちがこれを星の影響(influence)と考えインフルエンザと呼んだといわれています。
 インフルエンザの症状は一般的には38度以上の発熱、だるさ、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身の症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、せき、鼻水などの症状も見られます。さらに高齢者、呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ人は重症化することが多いので、十分注意する必要があります。インフルエンザが流行した年には、高齢者の冬季の死亡率が高くなることもあり、人の社会的生活にも大きな影響をもつ病気といえます。
 それでは予防策についてお話し致します。

流行前のワクチン接種  

 ワクチン接種の有効性については多くの議論があるようですが、発病を完全に阻止できなくても重症化防止の方法として有効であると報告されています。ただし、ワクチンの効果が現れるには約2週間程度必要です。インフルエンザウイルスは抗原性の違いからA型、B型、C型に分類されていますが、ワクチンには流行をおこしやすいA型2種類、B型1種類が含まれています。ちなみに、毎年WHO(世界保健機関)がワクチン製造のためのウイルス推奨株を決定しますので、その年のワクチンの内容は、ほぼ世界共通となっています。

飛沫感染に対する注意

 インフルエンザはインフルエンザにかかった人のせき、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に排出されたウイルスを鼻腔や気管など気道に吸入することにより感染します(飛沫感染)。帰宅時のうがいや手洗いは是非励行して下さい。高齢者、慢性疾患を持っている人や、疲れていたり、睡眠不足の人はインフルエンザの流行期に、人混みや繁華街への外出を控えた方が良いでしょう。また狭い部屋で大人数で過ごす時には十分な換気も必要です。

空気の乾燥に対する注意

 空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下するので、外出時にはマスクを着用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50〜60%)を保つように心掛けて下さい。

それでも「インフルエンザにかかった」と思った時は

 最近では約20分程度で診断できるインフルエンザ抗原検出キットが広く利用されるようになり、発病後2日以内に使用すればウイルスの増殖を抑制し、有症状期間を短縮する薬も使用可能となっています。さらに、15歳未満の小児では使用を避けるべき解熱剤もありますので、インフルエンザの流行期に突然38度の高熱が見られ、普段のかぜと比べてだるさや、関節痛、筋肉痛が強い時には、早めに「かかりつけ医」を受診するようにして下さい。最後に、インフルエンザになり解熱しても、その後2日間はウイルスを排出している可能性があります。職場や、学校に行く時は他人に感染させないように、せき、くしゃみをする時はハンカチやティッシュで口元を覆う、あるいはマスクをする等の心遣いも必要でしょう。

(T・A)

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眼圧は正常と言われたのに緑内障?!
平成17年10月1日 発行

 最近緑内障という言葉を耳にしたり、人間ドックで眼圧を測定したという方が増えてきておられます。

 元来、人間の眼球は、丸さを保つために一定の圧力が必要で、その正常値は、20mmHg以下とされています。緑内障は、この眼圧が21mmHgを越えて上昇したために視神経を障害し、視野や視力に異常をおこす病気で、上昇した眼圧を下げるための治療が行われます。ところが近年、日本人の40才以上の3.6%程度に、眼圧は正常値を示すのに、視神経がダメージを受けて、視野がじわじわと欠けてゆく、正常眼圧緑内障の方がいることがわかり、注目されています。

 このタイプの緑内障の初期には、自覚症状はほとんどありません。そのため症状が進行して、異常に気付いてから治療を開始しても、視機能の大半を失ってしまう恐れがあり、不幸な結果を防ぐためにも、日頃からの定期検査の重要性が再認識されています。残念ながら、視神経は、一度そこなわれると回復しないため、早期発見して緑内障がそれ以上進行しないようにすることが、治療の第1目的となります。緑内障には特別な予防法があるわけではありませんし、緑内障になったからと言って、特別な生活の注意があるわけでもありません。主治医の指示に従って、定期検査と点眼治療を継続することが大切なのです。ただし、首まわりのきついシャツを着たり、長時間うつむいて仕事をしたり、たくさんの水分を一度にとる(ビールの一息飲み)と眼圧上昇の可能性があるようですし、タバコもすすめられません。

 緑内障のなかでも、正常眼圧緑内障が特に注目されている理由は、眼圧が正常値を示しているために、人間ドック等で眼圧を測定しただけでは、緑内障が見落される恐れがあるからなのです。40才を過ぎたら、年1回は、眼科専門医で、視力・眼圧・眼底の精密検査を受けることをお勧めします。

  (Y・K)

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婦人科検診受けましたか?
平成17年8月1日 発行

 目黒区より検診のご案内が届いた方々も多いことと思います。皆さんは婦人科検診を受けたことがありますか?目黒区婦人科検診では20才以上の女性を対象に、主に子宮頚がんの検査を行っています。

 子宮がんは女性10万人あたり毎年約40人(2500人に1人)に発症しており、その約7割が子宮頚がんです。子宮頚がんは徐々に減少傾向にあり、ごく初期のがんが主体をなしてきています。また、最近は20才台の発症が急速に増えてきました。これは検診の普及により前がん状態を含めた早い時期からがんを見つけることができるようになったためで、若い世代での病変はほとんどが早期がんです。女性の発症するがんのなかでは、子宮がんは胃がんや乳がんなどにくらべて死亡原因となることは少なく、これは他のがんより早期発見がしやすいことが理由とされています。

 子宮頚がんの初期には自覚症状があまりありません。むしろ無症状であることが普通です。不正出血やおりものの増加で気づくこともありますが、多くは検診で判明します。もちろん、がんが進めば症状は多彩に出てきます。

 子宮頚がんの原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)による感染であると考えられています。感染は性交渉によってもたらされ、それ以外の感染は稀だとされます。しかし、HPVに感染しただけではがんにはなりません。この感染に何らかの要因が加わりがんが発症するようです。残念ながらこのウイルスに対するワクチンはまだ発見されていません。

 子宮頚がんの治療には手術療法や放射線療法、場合によっては化学療法が行われます。しかし初期で発見された場合には、現在では子宮を残し妊孕性を残す方法が積極的に行われるようになりました。病変部分のみを切除したり、焼灼したりする方法です。子宮を残した場合の再発はわずかにありますが、生命予後をおびやかすものではありません。

  子宮頚がんは早期発見、早期治療ができる病気です。症状がないから大丈夫、という病気ではありません。しかし検診で簡単に見つけることができます。ちょっと勇気を出して婦人科の扉をたたいてみてください。きっとみなさんのお役にたてることと思います。

 (I・A)

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肌のトラブルについて−「紫外線対策」していますか?−
平成17年6月1日 発行

春から秋にかけて紫外線が強くなる季節です。紫外線は皮膚に様々なトラブルを引き起こします。
 冬の間は紫外線量が少ないためトラブルは少ないのですが、5月頃から急激に紫外線が多くなるためトラブルが起こり易くなります。「散歩していただけなのに、数日前から顔が赤くなってきた。お化粧品は変えてないのに・・・」という方は急激に増加した紫外線の攻撃にお肌が負けているのかもしれません。

紫外線はシミやシワやイボの原因になります。長期的に多量の紫外線を浴びつづけると肌の老化が進みます(これは「光老化」と呼ばれています)。また、日焼けを繰り返していると、シワが深くなり、シミやイボが増え、皮膚は薄くゴワゴワした手触りになって来ます。深刻な影響としては、紫外線によって細胞レベルでダメージが起こり、これが皮膚ガンの発生へとつながります。

 また、ある種の薬剤(飲み薬、塗り薬、貼り薬のいずれでも)によっては使用中に紫外線を浴びると、浴びた部位に皮膚炎が起こることが知られています。紫外線そのものによっても肌がアレルギーを起こし皮膚炎の原因になることもあります。

 かつて日焼けが持てはやされた時代がありました。しかし、今日では無駄に紫外線を浴びるのは避けたほうが良いとされています。女性の間では「美白」という言葉がかなり浸透し、紫外線対策は常識になっていますが、男性はどうでしょうか?もともと男性はお化粧をする機会もなく、適度に日焼けしていたほうが見た目にも精悍に見える、女性ほどシミやシワを気にしないといった理由で無防備な人が多いようです。

 紫外線の恐ろしい話ばかりして来ましたが、では対策はどのようにしたらいいでしょう?紫外線からお肌を守る簡単な方法は、UVカットなどと表示されている化粧品・日焼け止め剤を使うことです。海や山、スキー、ゴルフなどの時だけでなく、普段の生活でもまめに使うよう心掛けましょう。「ちょっとそこまで・・・」の買い物や洗濯物を干す時が実は肝心なのです。普段の生活では日焼け止め剤のSPF(注)は20〜30で充分です。実際、日焼けにすごく敏感なオーストラリアでもSPF30+までしか販売されていません。

  気になるホクロやシミ、イボなどがありましたら、お近くの皮膚科医にご相談下さい。一人で悩んでいる時間が、取り越し苦労かもしれませんし、手遅れの始まりかもしれません。

(注)SPFとは、SunProtectionFactor(サンケア指数)の略で中波長紫外線の防止効果を表す数値。何も塗っていない皮膚がどの程度の紫外線量で炎症を起こすかを測定、数値化したもので、SPF値が高いほど日焼け止め防止効果に優れています。

 (K・O)

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運動器について考える−皆さんは姥捨山を希望されますか−
平成17年2月1日 発行

 今年は「運動器の10年」の運動が始って4年になります。といっても読者の皆様には何を話しているのか分からない方が多いと思われます。実は、国連、WHOが2000年〜2010年の10年間を「The Bone & Joint Deade」と決めて行っている世界的規模の運動なのです。これには世界96ヶ国、750を超える学会や団体が参加し、中には国の支持をうけて行なわれている国も54ヶ国もあります。

 このような運動が始った理由は、日本人の体の不調のトップが腰痛や肩こり、関節痛という整形外科の疾患が大部分を占めていることからも分かるように、運動器障害が重要な問題として認識されたことが理由です(平成13年度国民生活基礎調査)。人類がこの地球上に現れ、重力に拮抗して二本足で起立し、他の動物と異り、自分の体重を脊柱や下肢で支え、上肢(これら運動器)や頭脳を使って 互いに刺激し、高等な人類へと進化してきました。それゆえ人類は脳と運動器のいずれの機能が失われても 重大な生活機能障害を招き、運動器障害は、人間としての尊厳の喪失に大きくかかわっています。

 野生動物では運動器能喪失は、即、死を意味します。しかし我が国では「健康日本21」や「健康フロンティア戦略」の中に、運動器に関する項目がわずかに述べられている程度で、それも介護機能の低下の予防、すなわち経済面での負担軽減という「経済」という低いレベルの視点からしかなく、さらには代替医療(マッサージ、接骨、カイロ等)に変換させ、国の経済負担のさらなる軽減化、すなわち医療の劣悪化の傾向もみられるのが現状です。

 今日の整形外科における運動器障害に対する研究開発は、日進月歩で、不可能と思われたことも近未来的に再生医療、運動、理学療法等の発展によって、若さの保持、延長等が可能になるかもしれません。

 さて、現在の日本の医療は乳児死亡率、健康寿命、平均寿命いずれをとっても世界一で、WHOの総合評価で世界一の折り紙付きですが、医療費は先進7ヶ国中最下位で、巷間いわれる「日本の医療費は無駄が多く高い」と反対に、世界でも一番安いほうで、効率の面からも世界一です。さらに、先進国中、我が国は国庫支出面で突出した高い公共事業費を出し、社会保障費と比率が逆転している世界で唯一の国です。さらには最近その社会保障費も削減しようとしています。私たちもぼちぼち、運動器の重要性を改めて認識し、尊厳ある人生が過ごせるよう健康寿命の大切さを、国に対して大きな声で訴えようではありませんか。

 (T・K)

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丈夫な骨をつくりましょう
平成16年12月1日 発行

 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨の中のカルシウムが減って、骨がスカスカになった状態のことをいいます。この病気にかかった背骨の断面を見ると、大根に鬆(ス)が入った状態に似ているため、この様に呼ばれています。

 カルシウムが減るとどういうことになるかというと、カルシウムは骨の強さの源ですから、骨が折れやすくなります。

 骨粗鬆症でよく骨折する部位は肩の付け根、手首、背骨、太ももの付け根です。これは高齢者の四大骨折といわれています。この中でも大腿骨頸部骨折といわれる太ももの付け根の骨折は、歩行が困難となり、寝たきりになることが多いので、深刻です。

一年間で約10万人の方が大腿骨頸部骨折を起こしています。寝たきりを防ぐため、なるべく早く歩行訓練を始めたいのですが、これには手術が必要となります。しかし残念ながら手術をしても、骨折を起こす前よりも歩行能力が低下することが多いのが現状です。

大腿骨頸部骨折の原因のほとんどは転倒によるものです。ですからこの骨折を起こさない様にするには、転んでも折れない丈夫な骨を作っておくことがとても大切になりますが、これには「フラミンゴ療法(片足起立訓練)」という、簡単で、誰にでも出来る良い方法があります。

骨には自分に加わる外力を最も効率的に支えるような構造に、自分自身を作り替える性質があります。これを利用して大腿骨を鍛えようとする方法が「フラミンゴ療法」です。では実際にはどうやるかというと、まず机の前に両足で立ちます。次に右足を軽く、1分間上げます(このさい慣れるまでは軽く机に指をついてもかまいません)。次には右足を下ろし、今度は左足を軽く、1分間上げます。これを朝昼晩3回行ないます。片足で立っている姿がフラミンゴに似ているため、こう呼ばれています。

理論的な計算では、片足で1分間立つと、両足で53分間歩いたのと同じ負荷量が大腿骨にかかります。朝昼晩3回やれば、約3時間歩いたのと同じ効果が期待出来ます。これなら外出のできないお年寄りの方でも、骨を鍛えることは十分に可能です。

是非フラミンゴ療法を行なって、転んでも折れない丈夫な骨を作って下さい。

  (K・W)

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瞳いきいき輝いて
平成16年10月1日 発行

 年をとるとだれでも多かれ少なかれ視力の低下に悩まされます。眼の構造は、基本的にカメラと同じです。景色は光線として眼に入り水晶体を通ります。水晶体というのは、瞳孔のすぐうしろにあり、透明で小さな凸レンズのような形をしています。外からの光線を屈折させて、網膜に像を結ばせます。水晶体はカメラのレンズに相当し、遠くの物がよく見えるような働きをします。もう一つ水晶体には、「調節」という大切な仕事がり、遠くから近くへ視線を移した時に、ピントを合わせる働きをします。水晶体には弾力性があって、近くを見ようとすると、水晶体をつり上げている糸がゆるみ、水晶体は弾力性で膨らんで近くが見えるようになります。しかし40〜50年の加齢変化によって、水晶体は徐々に弾力性を失い、硬くなります。そのため、水晶体がふくらまず、ピントを合わせにくくなります。これが「老眼」です。老眼鏡は、この水晶体の膨らみの不足を、凸レンズで補っているのです。

 水晶体の蛋白質がもっと変化すると今度は徐々に濁ってきます。これが「白内障」です。初めは黄ばんでくるだけで視力も落ちませんが、更にすりガラスのような混濁が加わると、それによって光が散乱されるようになり、明るい所では「まぶしく」「見ずらく」感じるようになります。これが初期の白内障の症状で、更に濁りが強くなると、視力も徐々に低下してきます。

 白内障の治療には、目薬と手術があります。目薬の効果は、初期の白内障の進行を遅らせる、という程度のもので、視力を回復する為には手術が必要です。手術は、白目(強膜)と黒目(角膜)の境い目に小さい傷を作り、そこから水晶体の袋に丸い窓を開け、濁った中身を取り除き、そこに人工のレンズ(眼内レンズ)を入れます。この眼内レンズには、水晶体のような弾力性はないので、若い頃と同じように眼鏡なしで、近くも遠くも見えるわけではありません。手術のあと視力が落ち着いた頃に(個人差はあるが、約二ヶ月後)見たい距離に合わせた眼鏡を作る必要があります。手術を行う時期としては、日常生活に不便を感じるようになったら、というのが目安になると思います。但し、職業上の理由で矯正視力0.7以上を必要とされている場合は、初期の白内障でも手術をする場合があります。最近、日帰り手術を希望される方も多いのですが、条件が限定されます。

1.重篤な合併症がないこと
2.家族の協力が得られること

などです。高齢の方の場合は、なるべく三〜四日間入院して手術されるのが、望ましいでしょう。

  (C・N)

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顔面(神経)麻痺と顔面痙攣
平成16年8月1日 発行

1.顔面(神経)麻痺の症状

 瞼が垂れ下がり、目を閉じることができない。口笛をふいたり、頬をふくらますことができない

 顔面神経は脳より直接出ている第7番目の神経です。側頭骨という頭の骨の中を通り、おたふく風邪のときに腫れる耳下腺の中を走って顔の表情をつくる筋肉に分布します。神経が通るどこの場所が傷害されても顔面麻痺が起こりえます。頭(脳や脳幹)の中の傷害で起こる麻痺は、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎、頭部外傷、進行性球麻痺などが原因です。しかし、その頻度は顔面麻痺のなかではわずか数パーセントで、麻痺のほかにもいろいろな神経症状を伴うことが多いため、顔面麻痺の症状のみで一般の診療所を訪れる患者さんはまれです。

 最も頻度の多い麻痺はベル麻痺(特発性顔面神経麻痺)です。多くの場合は原因がわからないので「特発性」という言葉がつきます。耳の後ろが痛くなることもありますが、普通はなんの前触れもなく突然症状が現れ、数時間の間に目が閉じにくくなり、頬をふくらますことができなくなります。味がよくわからなかったり、音に敏感になることがあります。一般には1週間程度で回復が始まり、3ヶ月から1年で約90%が回復します。回復するか否かを予測する検査があります。

 次いで頻度の多い病気がハント症候群(耳性帯状疱疹、Ramsay−Hant症候群)です。原因は体の中に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが再び暴れ出すことによります。耳の穴の周囲や耳たぶの疱疹、顔面神経麻痺、めまい、耳鳴り、難聴があらわれます。麻痺に先立って、耳の痛みや頭痛があります。

もちろん、頻度は少ないのですが、麻痺はいろいろな原因でも起こりますので、はじめに受診する診療科は耳鼻科が適当です。

2.顔面痙攣の症状

 瞼や口元が突然ピクピクする

 典型的には顔面の片側が意志に反して(不随意に)動く病気です。従来は原因不明とされていましたが、片側顔面痙攣の大部分は、顔面神経が、脳幹という部分から離れたところで脳の血管に圧迫されることにより起こります。この病気はあまり多く起こりませんので、専門に扱う医師もまた限られます。はじめに受診すべきは神経内科脳神経外科が適当です。そこでこの病気を数多く治療している病院を紹介してもらいましょう。

 治療は、従来はなにもしない、薬物療法、神経ブロックでしたが、細菌はボツリヌス療法手術が勧められます。「この病気は放置しても命に別状はない」と説明をうけると、家族からは「なぜそこまでして手術を」といった意見がよく出されます。しかし、人は社会生活をしていますので、人前で突然顔の筋肉が痙攣することは本人にとってはかなりのストレスとなります。よって、手術の必要性とそのリスクは本人の考え方、といったところに落ち着きます。

 手術となった場合は、習熟した医師を選ぶことがとても重要です。手術成績や手術件数を遠慮なく質問しましょう。

 (Y・H)

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流行性角膜炎(はやり目)と咽頭結膜熱(プール熱)にご用心

平成16年6月1日 発行

眼は常に外界にさらされている臓器ですから、細菌、ウィルス(細菌より小さい微生物)、ほこり、花粉などによって、結膜という角膜(くろめ)のふちからまぶたの裏側までを覆っている粘膜に炎症がおきやすく、結膜炎は年間を通じてよく見られる病気です。

 その中でも、いわゆる「はやり目」とか「プール熱」とかいわれている結膜炎は、いずれもアデノウィルスというウィルスの感染によって起こる結膜炎で、伝染性が非常に強く、短期間に集団的に発生することがあります。夏に最も多く、特に夏かぜとして子供にアデノウィルス結膜炎が流行するとき、プールで感染する場合が多いのです。

 咽頭結膜熱(プール熱)は3〜5日の潜伏期の後、下まぶたが赤く充血して、濾胞という小さな粒状のものができてきます。のどの痛みや発熱、腹痛、下痢などを伴いますが、これらの症状が全部そろわないことも多いです。子供に多く見られ、比較的軽く、1週間程度で治ることが多いです。

 流行性角結膜炎(はやり目)は成人に多く、7〜14日の潜伏期を経て、下まぶたが赤く充血してにごったような感じになり、涙目になって目やにが多く出ます。上まぶたも同じようになり1週間もするともう片目にもうつってきます。このような状態は1〜2週間続いてから治りますが、これを早める方法はありません。

 現在のところ、アデノウィルス結膜炎に直接効く薬はないのですが、細菌感染症による2次感染を防ぐために抗菌点眼薬と炎症を抑えるための消炎点眼薬を使用します。これらは体が本来持っているウィルスを排除する力を助けるための薬ですから、点眼をして一時的に自覚症状が軽くなるからといって、あまり頻繁に使うとかえって治りを悪くしてしまうこともありますから、医師の指導にしたがって用いることが大事です。アデノウィルス結膜炎と診断されたら、保育園や学校には目やにや結膜の充血が消えるまで行ってはいけません。症状がなくなったことを眼科で確認した後に行くようにしてください。仕事も、職場の人にうつる可能性は十分にありますから、本来なら仕事は休んだほうがよいでしょう。プールの水も完全な消毒が行われているわけではありませんし、水だけから感染するとは限りませんから、完全に治るまではプールに入るべきではありません。コンタクトレンズの使用は中止しなければいけません。アデノウィルス結膜炎は、角膜(くろめ)にも炎症を起こしますし、コンタクトレンズをしていることで炎症が悪化する場合もあります。家族への完全な感染防止策、というものはありませんが、感染している人もそうでない人もまずよく手を洗うこと、タオルなどを共有しないこと、目をこすったりしないことなどを心がけてください。もちろん点眼薬を共有してはいけません。

 いずれにしても、ウィルスに対する抵抗力をつけるため休養を十分にとって体力を落とさないように心がけ、暑い夏をできるだけ快適に過ごしましょう。

 (T・A)

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性感染症の現状
平成16年4月1日 発行

 以前は“性病”といえば、不道徳、不潔、不名誉などと、特別な人たちが罹る感染症とみなされていました。しかし、世の中の変動に伴い、いまや普通の性生活をもつ人なら誰でもかかりうる病気として、“感染症予防新法”では、“性感染症ーSTD”として、結核などの他の感染症と同様に取り扱われるようになりました。

 症状の出やすかった古い型の性病群が医学の進歩に伴い減少してきた一方で、症状の出にくいクラミジアやエイズ代表されるウイルスによる感染症がひそかに広がってきています。特に最近最も流行している“クラミジア感染症”に関心が高まっています。

 クラミジアは0.3ミクロン程度の大きさで、細菌とウイルスとの中間的な病原体です。性感染症を起こすのはクラミジアトラコマティスという種類で、衛生状態の悪い時代や発展途上国では、トラコーマ結膜炎として流行しました。今ではSTDとして、男性では尿道炎、副睾丸炎、女性子宮頸管炎、卵管炎、骨盤腹膜炎の原因となり、将来の不妊につながる恐れもある一方、妊娠した場合は、母児感染により新生児の結膜炎や肺炎などをおこします。一般的に、女性は性器の構造上、STDにかかり易く、かつ症状が出にくく、重症化し易いとされています。また、STD予防のためにコンドームを正しく使用するのも、残念なことに男性まかせという状態であることが少なくありません。

 クラミジア感染症のうち、女性の8割、男性の5割は、ほとんど症状がないため、本人が病気だと自覚していない患者数は、報告数のほぼ4倍に上ると推定されます。女性患者は男性の2倍以上、特に若い世代ほど女性患者の割合が大きいのが問題です。クラミジア感染症のパートナーと性的交渉を持つと、約50〜60%が感染しますので、パートナーと一緒に治療することが必要です。このような特徴を考慮して、全人口でのクラミジア感染を算出すると、男性13.8万人、女性81.9万人、計96万人という膨大な数になります。(平成11年調査)。これは、性生活がとくに活発な人たちを対象にしてのではなく、ごく普通の人たちを対象として推計された数字なのです。性感染は今や、“性生活の生活習慣病”と言われるほどになっています。

 クラミジアの他にも、性器ヘルペスや、尖圭コンジローマ、HIV/エイズ感染が増加しています。クラミジア感染を放置して、適切な治療を受けないでいると、性交渉の際にHIVに感染する危険性が3〜4倍に増えるといわれます。もちろん病原体は違いますが、いずれも性的接触を主な感染しているかどうか判別しにくい点が共通しています。HIVについて、日本では感染者数の増加傾向が続いており、感染経路として男性の同性間の性的接触によるものが同じく増加しています。

  いずれにしても、性感染症を正しく理解し、適切な検査、診断を受けること、治療が必要であれば、医師の指示に従って、きちんと治療を受けること、予防のためにはコンドームを正しく用いること、が、自分自身の健康を守り、次の世代を守ることでもあるのです。

 森田 良子


前立腺癌とPSA(前立腺特異抗原)について
平成16年1月1日 発行

 1985年の日本における前立腺癌の罹患率は、人口10万人に対し、12.1人、1995年では、17.5人、さらに、2015年には、22.7人と予測されています。生活様式の欧米化が前立腺癌増加の一因とも考えられ、このように増加している前立腺癌に対し、早期発見が急務となってきました。以前は、前立腺癌フォスファターゼ(PAP)しか腫瘍マーカーがありませんでしたが、これは進行した前立腺癌でないと、上昇しませんでした。1987年Stameyの画期的論文により、PSAが、早期前立腺癌の診断及び治療後の経過観察に非常に有用であることがわかり、前立腺癌の腫瘍マーカーの主役に踊り出ました。このPSAの出現のおかげで進行癌で発見される率が、20年前の半数ほどになりました。なお、γーSM(セミノプロティン)は、蛋白に結合していないフリーのPSAのことで、一般にPSAというときは、トータルのPSAをさします。

 そもそもPSAは、前立腺細胞に含まれる糖タンパクからなる蛋白分解酵素で、精液中に高濃度に排泄され、ゲル状の精嚢腺液を、液状にします。PSAは、正常な健康人の前立腺に存在するのですが、血液中に検出されるのは、低レベルです。前立腺肥大症のように重量が大きい場合、当然正常な健康人と比べ、血中PSAレベルは軽度上昇します。また、前立腺細胞が破壊されるような急性前立腺炎では、血中にPSAが漏出するため、中程度上昇します。勿論、前立腺癌でも破砕を繰り返していますから、上昇の程度は進行度によります。その他、前立腺の触診、尿閉、導尿などの経尿道操作、サイクリング、射精などがPSAを上昇させます。  以上からお分かりかと思いますが、PSAは、前立腺組織に特異性があるのであって、前立腺癌そのものに特異性があるわけではありません。

 PSAの基準値は、標準的なTandem Rでは4.0ng/ml以下となっています。PSA4.0から10.0ng/mlをgray zoneと呼び、軽度上昇にあたります。前立腺肥大症も多くは、この範囲に入ります。このgray zoneでは、20から35%に癌が検出され、10.0ng/mlを超えると50%に癌が検出されます。検出法は、前立腺針生検で、前立腺に経直腸的もしくは経会陰的に6から8本針を刺して組織診断を行います。決して前立腺針生検は、侵襲のない検査ではないので、このgray zoneに対して、もう少し検出率を高める工夫がいろいろとなされてきました。PSA速度(PSAの経時的上昇率が良性疾患に比べ、癌では大きい)、年齢別PSA基準値の変化(高齢になるほど、基準値は高くなる)、フリーPSAとトータルPSAの比率(前立腺癌では、前立腺肥大症に比べ、比率が低い)などです。

 早期前立腺癌はまったく症状はありません。PSAの普及とともに、従来の触診だけでは診断しえなかった前立腺癌がスクリーニングされるようになってきました。50歳以上で、まだPSAをチェックされたことのない方は、スクリーニングとして一度かかりつけの先生にチェックしてもらってください。

 前立腺癌については、話は尽きないのですが、またいずれの機会とさせていただきます。

 飯ケ谷 知彦


胃の病気とピロリ菌
平成15年12月1日 発行

 最近、新聞や雑誌でピロリ菌と言う名前をお聞きになったことがあるかと思います。正式にはヘリコバクター・ピロリといい、ヒトの胃粘膜に住み着いてることが約20年前に証明された細菌です。それまでは、強い酸である胃酸の中で細菌など生きていけないと信じられていました。ところが、実際はピロリ菌を持っている人は意外と多く,50歳以上の日本人は7割以上が保菌者であるとも言われています。その感染の経路については、いろいろ考えられていますが、下水道が普及とともに感染率が低下することから、経糞感染の可能性が考えられます。ピロリ菌は胃粘膜に炎症を起こし、急性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因の一つになるので、胃や十二指腸の潰瘍を繰り返し起こす場合は、ピロリ菌を退治したほうが良いとされます。

 また一方、ピロリ菌は胃癌とも大きな関係があることも解ってきました。

 胃粘膜は年齢と共に萎縮して薄くなり、消化力が衰えます。萎縮した胃粘膜すなわち萎縮性胃炎には胃癌ができやすいとされています。日本人は欧米人よりも萎縮が起こりやすいのですが、これは人種による違いであり、ある程度避けられないと考えられていました。ですから、日本人は胃癌が多いのも当然で、国民病とまで言われていたのです。

 しかし、ピロリ菌が胃に感染して急性の胃炎が起こり、次第に慢性化して萎縮性胃炎へと進むことが解ってからは、胃癌の原因の1つはピロリ菌と考えられるようになりました。最近、WHO(世界保健機構)は、タバコが肺癌の発癌物質であるのと同様に、ピロリ菌は胃癌の発癌物質であると発表しています。ですから、胃癌の発生を防ぐにはピロリ菌を胃から駆遂することが望ましいともいえます。厚生省は平成12年11月からピロリ菌に対する診断治療を健康保険で行うことを認可しました。しかし、胃カメラでの胃十二指腸潰瘍の確認などが必要で、また抗生物質(何しろ細菌ですから)などの量や種類も普通の場合と異なりますので専門医による治療が望ましいと言えます。

  渡辺 英章


風疹(三日ばしか)にご注意!
平成15年 8月1日 発行

 風疹はウィルスによる伝染病で、感染者のせきやくしゃみで飛沫感染します。うつってから2ー3週間の潜伏期間をへて発病するといわれています。小さな赤い発疹が体中に出現し、発熱や首のリンパ腺が腫れるなどの症状がみとめられます。熱は高い熱が出る人からまったく熱のない人までさまざまです。一般に発熱も発疹も3日ほどで治ることが多いので、別名「三日ばしか」ともよばれてます。病名はにていますが、麻疹(はしか)とは違うので、ご注意ください。

 また、風疹は、子どもだけにしかかからないと思われがちですが、大人にもみられます。特に妊娠初期の女性がかかると大変で、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれてくることがあります。先天性風疹症候群に伴う奇形として眼科的(白内障、網膜症、先天性緑内障)、心臓性(動脈管開存症、末梢肺動脈狭窄)、聴覚性(感音性難聴)、そして神経学的(行動障害、髄膜脳炎、精神遅滞)などが認められることがあります。感染が妊娠第1ヶ月の間に起こると先天的な障害は50%以上に起こり、妊娠第2ヶ月ならば20%ー30%、第3ー4ヶ月には5%に認められます。妊娠の2ヶ月以上前に予防接種を受けていれば、先天性風疹症候群は予防できるといわれています。今後、風疹の予防接種を受けていない成人女性が増加しますと、先天性風疹症候群の子どもの増加も考えられ、社会的にも重大な問題になりかねません。それゆえに、予防接種で免疫をつけておく必要があります。

 さて、風疹の予防接種につきましては、平成6年までは、妊婦の方が風疹に罹患したことによって起こりえる赤ちゃんの先天性風疹症候群の予防を目標としていたため、中学生女子を対象としていました。平成6年の予防接種法の改正以降は、先天性風疹症候群の予防はもちろんのこと、幼児から学童にかけての流行の阻止、そして風疹根絶を目標に、定期予防接種時期が、従来の中学生女子から現在の生後12−90月未満の男女(標準的な接種年齢は生後12−36月)に変更されています。幼児から中学生までがかかりやすく、3ー4歳ことが最もかかりやすいので、できれば3歳までに受けるのが望ましいでしょう。特に、保育園、幼稚園にいくお子さんは、麻疹(はしか)の接種に続けて入園前に受けておいてください。

 また、この変更にともない、風疹の定期予防接種を受ける機会を逸するのを防止するために、期間限定の定期接種の措置が設けられています。この対象の方は昭和54年4月2日から昭和62年10月1日までの間に生まれた14歳以上の未接種者です。定期接種あつかい(無料)としての期間は、平成15年9月30日までですので、該当する方は、お忘れなく!!

 (S・I)



逆流性食道炎とは
平成15年 6月1日 発行

  最近新聞や雑誌などで、逆流性食道炎という言葉を眼にされることがあるかと思います。ちょっと聞き慣れない病気ですが、患者さんは増加しているといわれています。

 食物が口から食道をとおり胃に入ると、胃の粘膜から胃液が分泌されます。胃液にはたいへん強い酸である胃酸が含まれているため、胃液が食道に逆流すると食道の粘膜を傷つけ、胃と食道の繋ぎ目から口の方に向かって、ただれができます。ひどくなると、潰瘍ができる場合もあります。

 症状は胸焼けや、さらにはみぞおちから前胸部にかけて痛みを感じます。胃酸は、起きている時よりも、横になっている姿勢のほうが当然逆流しやすいため、就寝中に炎症が進んでしまい、患者さんは朝起きた時から、胸焼けを感じることになります。

 ではなぜ胃酸の逆流が起こるのでしょうか?食道の下部は、食道の壁に存在する括約筋、外側にある横隔膜などによって締めつけられ、胃酸が食道内に逆流することを防いでいます。 食道の下部に食物がたどり着くと、この締めつけが緩み、食べ物が通過して胃の中に入ります。年齢的変化や肥満などが原因で、これらの筋肉が緩むと、胃が本来の位置から胸の方に引っ張りあげられる形になり、胃液の逆流を防止するような仕組みがうまく働かなくなってしまいます。このような身体の変化に加え、胃液の分泌を促すような食事、脂っこいものや辛いものなどが引き金になります。また、食べ過ぎて胃が過度に膨らみ、内容がなかなか十二指腸に下りていかないと、胃液が出すぎてしまいます。

 わが国では、この病気は欧米に比べて少ないと考えられてきましたが、食生活の欧米化や肥満傾向により、患者さんは増加しつつあると考えられます。また、内視鏡検査(胃カメラ)の普及で正確に診断できるようになったことも患者さんの数が増えた理由です。(この病気の正確な診断には胃カメラの検査が欠かせません。バリウムによる胃透視の検査では診断が困難です。)

 胃酸が絶えず食道の粘膜を傷つけていると、その部分に癌が発生することがあり、それはバレット食道癌と呼ばれ、他の食道癌と区別して考えられています。また、胃の切除手術を受けられた方は胃酸ではなく、アルカリを含んだ消化液が逆流するため、さらに強い食道炎を起こすことがあり、治療も難しい傾向があります。

 治療はほとんどの場合、胃酸を抑える飲み薬で良くなりますが、薬が効かない場合は手術によって、胃酸を逆流しにくくする場合もあります。しかし、薬による治療だけではなく、過食を避け、脂っこいものや辛いもの等を避けることもたいせつです。

 いずれにしても、胸焼けが続いたら一度診療をお受けになることをおすすめします。

 (H・W)



効果のある予防接種

平成14年12月1日 発行

  インフルエンザは普通のかぜと違って注意が必要な感染症です。咳や鼻水、熱などの症状は普通のかぜと似ていますが、原因となるウイルスの種類が異なり、かかると急に38〜40℃の高熱が出て、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状をともないます。

 特に小学校入学前の小さなお子さんは入院するほど重くなったり、合併症を引き起こすことがあります。インフルエンザの合併症には中耳炎、気管支炎、肺炎などがありますが、最近深刻な問題になっているのは小さなお子さんの脳炎、脳症です。毎年約100人のお子さんが死亡し、同じくらいの後遺症患者がでているといわれています。脳炎、脳症は症状が出てから0〜2日で死亡することの多い怖い合併症です。また、65歳以上の高年齢者や心肺、気管支などに慢性疾患のある人がインフルエンザにかかると重症化したり肺炎を併発することが多いので十分な注意が必要です。インフルエンザを予防するには、@予防接種を受ける A栄養と休養を十分にとる B人混みを避ける C適度な温度、湿度を保つ Dマスクを着用する E手洗いとうがいをするといったことをおすすめします。

 現在日本で行われているインフルエンザの予防接種に使用するインフルエンザHAワクチンについては、最近の研修成果を踏まえて、接種回数の見直しが行われて、以下のように変更されました。0.5ミリリットルを皮下に1回またはおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。ただし、6歳から13歳未満のものには、0.3ミリリットル、1歳から6歳未満のものには0.2ミリリットル、1歳未満のものには0.1ミリリットルずつ注射する。65歳以上の高齢者に対しては1回の接種でも十分効果があるとする研究結果が得られており、1回接種でよいと考えられています。13歳以上54歳以下の方でも、近年確実にインフルエンザに罹患していたり、昨年インフルエンザの予防接種を受けている方は、1回接種でも追加免疫による十分な効果がえられる方もあると考えられます。接種回数が1回か2回かの最終的判断は、接種する医師の判断によりますので、接種の際にはこれまでのインフルエンザにかかったことのあるなし、ワクチン接種のあるなしとその時期、そして現在の体調、などを担当医師に十分伝え、相談してください。

 それでもインフルエンザにかかったら、水分や栄養を取って安静にすることはもちろんですが、普通のかぜとは違いますから、熱が出たら2日以内に医師の診断を受けてください。ウイルスの活動を抑える新薬が開発され、インフルエンザを治療することができるようになりました。一般の薬局や薬店では買えませんので医師に処方してもらいます。

 市販のかぜ薬は熱、咳、鼻水などの症状を抑える薬です。インフルエンザに直接、効くものではありません。インフルエンザにかかった小さな子どもにアスピリン入りの解熱剤やかぜ薬を飲ませると、急性脳症を引き起こす危険性があります。大人用の解熱剤によっては体温や血圧の急低下を引き起こすこともありますので、医師に相談して、小児用のかぜ薬やおだやかな解熱剤をもらいましょう。感染力の強いインフルエンザはあっという間に大流行しますから、早めの予防と治療を心がけてください。

(N・H)