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メディカル豆知識 すこやか
 
平成24年2月号 予防接種
平成23年12月号 かぜ症候群
平成23年10月号 乳がん
平成23年8月号 夏の皮膚病
平成23年6月号 「脂質異常症」に気がついていますか?
平成23年4月号 糖尿病の最新治療 新しい血糖降下薬(インクレチン関連薬)
平成23年2月号 小児のアレルギー疾患 スギ花粉と食物アレルギー
平成22年12月号 風邪かと思ったら…
   
 
 
 


この小さな新聞は目黒区民と医師を結ぶ心のかけはしです。
いろいろなご意見やご希望をおよせください。
〒152-0004 東京都目黒区鷹番2丁目6番7号 TEL:03-3714-2101(代表) FAX:03-3714-2106



平成24年2月1日 発行

  予防接種

  日本では毎年多くの子どもたちがワクチンで予防できるはずの病気に感染して命を落としたり重い後遺症に苦しんだりしています。朝日新聞でもおたふくかぜの合併症で難聴に苦しんでいる方の記事が出ていました。

   子どもは病気にかかりやすく、かかると重くなる病気もあります。病気の原因となるウイルスや細菌または細菌の作り出す毒素の力を弱めて予防接種液(ワクチン)を作り、これを投与することによりその病気に対する抵抗力(免疫)を作ることを予防接種と言います。そうすることにより病気にかからなくなったり、病気が軽くなったりその病気によって起こる合併症を防ぐことが出来ます。お母さんから赤ちゃんに伝えられた病気に対する抵抗力(免疫)は生後3か月から1歳くらいまでに自然に失われていきます。ですから病気によって2か月くらいから予防接種を始める必要があります。

   日本では定期予防接種といって公費負担により無料で受けられるものと任意予防接種といって有料なものがありますがどれも大切な予防接種です。世界の多くの国ではほとんどのワクチンは定期接種として行われておりワクチンも多くの種類があります。その観点からすると日本の予防接種は遅れていると言わざるを得ません。それでもここ数年、日本でも生後2か月より接種できるインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、10歳以上より接種する子宮頸がんワクチンなど多くの予防接種を受けることが出来るようになりました。以前よりあるB型肝炎ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、インフルエンザワクチンもぜひ受けてください。これに定期接種であるBCG、DPT、ポリオ、MR、日本脳炎ワクチンがあり、それぞれを複数回接種しなければいけませんから、どれをどういう順番でやったらいいか混乱している方が多いと思います。赤ちゃんが生まれたら近くに信頼できるかかりつけ医を探してその先生と相談しながら予防接種のスケジュールを立ててもらってください。赤ちゃんのワクチンデビューは生後2か月です。

   ワクチンの同時接種は安全であることが証明されていますから場合によっては同時接種も可能です。予防接種の副作用は注射部位が赤く腫れたり熱が出るといったもので重篤な副作用はまれで、実際にその病気にかかることに比べはるかに安全です。

   ワクチン接種は国連のWHO(世界保健機関)を中心に世界中で推進されています。世界中で多くの人に使用され、接種後の多くの科学的調査が行われ有効性と安全性が証明されています。

   多くの感染症の中でワクチンが開発されている病気は少数です。ワクチンで防げるということはラッキーなことです。しかしワクチンを受けていなければ予防はできません。防ぐ方法があるのに防がないなんてこんなもったいないことはありません。

  (K・I)

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平成23年12月1日 発行

  かぜ症候群

   いよいよ寒さ到来、冬の時期がやってきました。せき、鼻水、熱などのいわゆる“かぜ”の症状が出やすい時期になってきました。今回は、かぜ症候群にスポットをあててみたいと思います。実はかぜとは、ひとつの病気を指す正式な病名ではありません。異なった病原体が鼻やのどなどに取りついて起こるさまざまな症状を、ひとくくりにして「かぜ・風邪」と呼んでいるだけなのです。主な原因は、大人ではライノウイルス、お子様では、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルスなどです。

   主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などの呼吸器症状ですが、発熱、食欲低下、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などもよく見られます。その他、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。1週間程度で回復しますが、症状が長引く時は他の合併症を考えて検査を受ける必要があります。インフルエンザも一般的にはかぜ症候群に含まれます。

   どんな診断・検査が必要ですか?
通常は、臨床症状だけで診断がつくためあまり検査は行いませんが、血液検査で、ウイルスの感染を示す白血球の減少やCRPの軽度の変動を認めることがあります。逆に、血液検査で、白血球の増加やCRPの上昇が見られたら、ウイルスよりもむしろ細菌感染の可能性か細菌感染の合併を考える必要があります。一般的には、症状が軽くてすぐ治るのがかぜ症候群ですから、ウイルス検査などは必要ありません。しかし、インフルエンザの可能性が疑われるときには、検査を行うべきでしょう。その理由は、インフルエンザは重症化する危険性があることと、最近特効薬が開発されたため、早めに診断すれば有効な治療が可能だからです。

   どんな治療法がベスト?
通常は、安静を主体とした対症療法が治療の中心です。熱があって体がだるければ、非ピリン系の解熱鎮痛剤を用いますが、安易な解熱剤の投与は重篤な合併症を招く危険性があります。特に、インフルエンザの時のアスピリンの服用は、脳炎、脳症の危険性が高まるとされ使用を控える方がよいでしょう。小さいお子様では特に危険です。他の鎮痛解熱も同様の危険性がありますから、薬を服用せずに、安静と氷枕だけで軽快すれば理想的です。しかし、症状が強くてどうしても服薬が必要な時には、アセトアミノフェンが比較的安全だとされています。かぜ症候群はウイルス感染ですから、基本的に抗生物質は効きません。しかし、細菌感染の合併が疑われるような症状、つまり、痰に色がついたり、ねばねばした汚い痰がでたり、のどの痛みに加え白いぶつぶつが見られる時には抗生物質が必要になります。また、熱が1週間以上続く時にも必要になるかもしれません。 また、お子様は発熱が続き嘔吐・下痢などの消化器症状が合併してきますと、脱水症にかかりやすく体力低下をきたしてきます。そのため年齢に応じた水分補給や食事の注意が必要で、来院する前に熱、飲水量や尿回数も記録して受診されると診断や治療に有用な情報となります。
   投薬され安静に自宅で過ごされても、1週間前後で回復されない時は、早めにかかりつけ医療機関を受診してください。

  (R・S)

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平成23年10月1日 発行

  乳がん

   いま、乳がんに罹る人が増えています。

   日本全国では1年間に約5万人の方が、新しく乳がんになっています。生涯の中で、十数人に1人が乳がんになると言われており、女性が罹るがんの第一位となっています。
   年齢別では、40歳代〜50歳代に最も多く、60歳代・70歳代にも多くみられますが、その一方で、30歳代の患者さんも、決して珍しくはありません。
   日本の人口が約1億2千万人で、目黒区の人口が約25万人ですから、とても単純にして考えますと、目黒区では1年間に約100人の方が乳がんになっていると推測されます。

   乳房のしこりだけではなく、左右で形が違ってきた、乳首の向きが変わった、乳房にくぼみのようなものができた、皮膚が赤くなってきた、乳頭から血液混じりの分泌物が出てくる、といった症状には注意が必要です。
   他の内臓のがんと違い、乳房は自分で見て触ることが出来ますので、詳しいことまでは分からないにしても、何か異状があった時には自分で気がつくことが可能です。そして、早く見つかり適切な治療を受ければ、多くの乳がんは治まりますので、普段から注意をしておく甲斐がある病気と言えます。

   早期発見・早期治療をするべく、目黒区では40歳以上の方を対象に、マンモグラフィを用いた乳がん検診を行っています。平成22年度には、約5千人の方が受診され、21人の方に乳がんが発見されました。
   乳がん検診と言えば、マンモグラフィと連想されることも多いのですが、マンモグラフィも決して万能という訳ではありません。
   40歳以上の方の検診には、マンモグラフィが有効であることは広く認められているのですが、より若い年代では注意が必要です。つまり20歳代・30歳代の方では、乳腺が発達しているため、マンモグラフィのレントゲン写真では白く濃く写ってしまい、十分に見極めきれない事があります。そのような場合には、超音波検査の方が良いと考えられています。
   30歳代になると、乳がんの罹患率が上がり始めますので、一般の人間ドックなどでは、担当医とよく相談をして、より望ましい方法で検診を受けることが大切です。

   検診等で何かあった場合には、マンモグラフィと超音波の両方でよく確認をします。より詳しい検査が必要な場合には、細い針を使って病変が疑われる部分から細胞や組織を取り出して、顕微鏡で見てよく調べます。
   乳がんであった場合には、手術治療、化学療法・ホルモン療法などを上手に組み合わせて治療を行います。手術で切る範囲をなるべく小さくするための温存療法や、見張りリンパ節生検などの技術も進みましたし、薬の治療も種類が増えて、治療効果・治療成績が高まりました。

   ご心配なこと、気になることがありましたら、まずは、乳腺科・乳腺外来にご相談されて下さい。

  (G・T)

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平成23年8月1日 発行

  夏の皮膚病

   皮膚病は夏と冬ではどちらが多いのでしょうか?
   皮膚科医の診療所で、患者さんの人数をみると、夏期のほうが、受診者が多くなります。なぜでしょうか?

   春先に花粉症が落ち着く頃から…

@気温が上昇し植物が育成し
A昆虫が活動をはじめる。
B梅雨の後、陽射しが強く、
C暑さで汗ばんできます。
D衣服は薄着になり、
E子供はプールや水遊び、
F夏休みはキャンプや旅行。

環境や生活が変化していく時期に一致して、様々な皮膚のトラブルが発生します。

   では、どのような皮膚病があるのでしょう?

@からFに合わせてみていきます。まず、植物による「かぶれ」庭ではハゼの木、野山ではウルシによることが多くひどい症状になる人がいます。
   虫では、特にケムシによる皮膚炎がみられます。特に公園や庭木の手入れで要注意。
   梅雨になると湿度が上がりミズムシの人が急に増えます。梅雨間の強い陽射しで、紫外線アレルギーを起こす人がでてきます。
   更に暑くなってくるとアセモや湿疹の人が多くなり、薄着になり、腕脚のスリキズや虫刺されがピークになってきます。
   子供では、そのスリキズから「トビヒ」感染をおこしたり、プールでは「水イボ」感染がみられるようになります。
   海水浴や旅行の後、過度の日焼けによる受診や、キャンプや野外コンサートで、時にひどい虫刺されをおこし受診という人がでてきます。また海水浴でのクラゲ刺傷や、山でのムカデ咬傷、ハチに刺されたなどなど…
ザッと挙げても、このように皮膚に関するトラブルは、夏のほうが多くなるよう思います。

   ではこの中ので、特に皆さんの関心のありそうなものについて、もう少し詳しく説明してみましょう。まずは子供の皮膚病から。

   トビヒは皮膚の表面に細菌がつき、ただれや発赤をおこし、広がっていきます。キズや湿疹などから発症することが多く、2歳から8歳くらいで多くみられます。適切な治療を受けないと悪化しますので要注意!

   水イボはプールや水遊びの際に伝染するウイルスによるもので、やはり2歳から10歳未満に多くみられます。こちらは将来的に自然治癒するので、患児のおかれた環境により、保護者と相談して治療をします。

   ミズムシは子供より、大人に多く見られ、白癬菌という真菌(カビの仲間)の感染です。梅雨時が受診者が多くなります。足の湿疹や汗による皮疹と紛らわしい場合があり、安易な市販薬による自己治療に頼らず、皮膚科受診をお勧めします。

   紫外線アレルギーによる皮疹は、日焼けと違い日光のあたった部位に湿疹ができます。薬物による場合と、花粉症のように突然ある年に発症する場合があります。主に顔や腕にみられ、前者は薬物を中止します。後者は体質変化なので毎年おこるようになります。治療とともに、紫外線防御を考えなくてはなりません。

   以上代表的な病気を紹介しましたが、夏の肌は残念ながら不慮のトラブルに見舞われやすいので、皮膚病になったら皮膚科に相談しましょう。

  (T・T)

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平成23年6月1日 発行

  「脂質異常症」に気がついていますか?

   脂質異常症は、血液中の脂質、例えばコレステロール、中性脂肪、リン脂質遊離脂肪酸などの値が異常であることをいいます。

   これら脂質は、細胞膜、ホルモン生成などの材料であり、また、エネルギーの貯蔵庫となり、生命維持には欠かせない大切な物質です。しかし、脂質が何らかの原因で、異常な値を示すことになれば、「脂質異常症」と診断されます。

   この、脂質異常症を自覚している方は、約30%(平成18年国民栄養調査)と少なく、高血圧、糖尿病に比べて、その認知度が低いのが現状です。

   さて、なぜ   脂質異常症が問題となるのでしょうか?  脂質には、色々な物質がありますが、代表的なものとして、LDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪があげられます。  脂質は、肝臓で作られ、食事からも吸収されて、血液中に一定量が維持されるよう調節されています。しかし、遺伝、さまざまな病気、食事の不摂生等で、その調節機能が破綻すると、LDLコレステロール、中性脂肪が高値を、HDLコレステロールが低値を示すようになってきます。

   LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の組織に運ぶ作用がありますが、大量のLDLコレステロールは、血管壁に入り込み変性して、動脈硬化を起こします。これが「悪玉コレステロール」と呼ばれる理由です。一方、HDLコレステロールは、余ったコレステロールを肝臓に戻す役割があり、「善玉コレステロール」といわれます。これが低いとやはり、動脈硬化は進展し、その結果、心筋梗塞、脳卒中などが発症する可能性が高くなります。

  脂質異常症の診断は、血液検査で行われます。LDLコレステロール140mg/dl、中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl以下です。

  多くの臨床研究が、我が国をはじめ全世界で報告され、脂質異常を適正に管理することの重要性が報告されています。なお、管理目標値は、合併する動脈硬化関連因子の数により、規定されています。

  ぜひこれを機会に、自分の脂質値を確認され、異常値であれば、かかりつけ医と相談して、管理目標値を目指しましょう。

  (Y・K)

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平成23年4月1日 発行

  糖尿病の最新治療 新しい血糖降下薬(インクレチン関連薬)

  先日、友人と食事中にペットのことが話題になりました。どうやら飼い猫が糖尿病になり治療をしているとのこと。猫は痩せて元気がなくなり、心配した彼が獣医さんに診せたところ、血糖値が高く糖尿病と診断されたようです。飲み薬(径口血糖降下薬)で効果がなくインスリン治療が始まり、毎日友人は猫にインスリンを注射しているそうです。猫は嫌な顔一つせず大人しく注射をされて、元気になってよかったと話す友人も嬉しそうでした。

  獣医さんのお話では美食や運動不足が原因で犬や猫の糖尿病が増えており、高血糖で亡くなるペットも多いとのこと。動物の糖尿病は飲み薬が効きにくいようです。

  人間でも同様に糖尿病が増えています。糖尿病の疑いのある日本人は2210万人と推定されています。人体でエネルギーの元となる糖分は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンにより空腹時血糖値100mg/dl以下に(食後も160mg/dlを超えない程度に)調節されています。食事に合わせて必要とされるインスリン量よりも分泌量が少なくなると、血糖値が上昇し糖尿病になります。日本人は遺伝的にインスリン分泌量が少なく糖尿病になりやすいため、血糖値を急に上昇させないようゆっくりよく噛んで食べることが大切です。運動により糖分を消費することも重要です。

  食事や運動に気をつけていても血糖値が高い場合には、飲み薬やインスリン注射が必要となります。糖尿病の内服薬は、働きの違いにより大きく3つに分類されています。

  膵臓に働きかけインスリンを出させる薬(インスリン分泌促進薬、アマリール・オイグルコン・ファスティックなど)、糖分の吸収を遅くする(αグルコシダーゼ阻害薬、ベイスン・グルコバイ・セイブル)、インスリンの働きを助ける薬(インスリン抵抗性改善薬、アクトス・メルビンなど)の3種類です。

  これらは糖尿病治療に広く用いられいる薬剤ですが、薬が効きにくくなる、体重が増えて必要な内服量も増える、食事の前に血糖値が下がりすぎる(低血糖)などの問題もあり、十分に管理できていないのが現状です。そのためより良い糖尿病治療薬の開発が待ち望まれていました。

  2009年12月、新しい薬(インクレチン関連薬)が日本でも使用出来るようになりました。昨年12月NHKの「ためしてガッテン」で紹介され、ご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。新しい薬剤は、消化管ホルモンの働きを強めることにより、膵臓からのインスリン分泌を調整する薬です。飲み薬(グラクティブ・ジャヌビア・エクア・ネシーナ)とより強力な注射薬(ビクトーザ・バイエッタ)があり、心配されていた低血糖や体重増加を起こしにくいと言われています。さらに動物実験では膵臓の保護作用が示され、心臓や血管にもよい効果があると期待されています。

  日本ではすでに数十万人の患者さんが服用しておられ、糖尿病合併症の発症や進展の抑制にどれだけ寄与するのか注目されています。

  しかし、どれほど優れた薬剤であっても、食事・運動療法に勝る薬はないことをお忘れなく!区民の皆様がすこやかな毎日をお過ごしになるよう願っております。

  (S・K)

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平成23年2月1日 発行

  小児のアレルギー疾患 スギ花粉症と食物アレルギー

  近年アレルギー疾患が増加しています。
  国民のほぼ30パーセントがアレルギー性鼻炎に罹患、通年性アレルギー性鼻炎の人の70パーセント位が学童期までに発症、今年は多量(昨年の数倍と言われています)に飛散すると予測されているスギ花粉症には国民の25%以上が罹っているようです。以前は幼児にスギ花粉症はほとんどいないといわれていましたが、最近スギ花粉の季節になると鼻水、鼻づまり、目のかゆみで小児科や耳鼻科の外来を受診する子どもが珍しくなくなりました。

  三重大学の調査によれば、CAP・RASTという抗原感作の検査でスコアー2以上を陽性とした時、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患を有する子どもでは、47%の人がスギ花粉に陽性を示し、年齢3歳から5歳で陽性になる子どもが増加した、最年少は23ヵ月、アトピー性皮膚炎の男児だったということです。一方アレルギー性疾患のない子どもではスギ花粉に陽性を示したのは19.9%、陽性になる率もゆっくりだったという結果でした。

  晴れた春の日に子どもを元気に外で遊ばせたいところですが、多量に飛散するスギ花粉から子どもを守るには帽子、ゴーグル、マスク、抗アレルギー薬などを適切に使用する必要があるでしょう。小学生ならゴーグル、マスク、帽子を使えますが、幼児にはまだ無理かもしれません。花粉飛散量の多い日は室内遊び中心の生活にするのもやむをえないでしょう。

  最近の小児アレルギー性疾患のなかで治療法に変化がみられるものに、食物アレルギーがあります。 乳児の5〜10%に食物アレルギーがあるといわれ、アトピー性皮膚炎を契機として食物除去の指導が行われていますが、最近これに対して批判的な研究結果が出て来ました。

  日本小児科学会雑誌2010年5月号で神奈川県立こども医療センターアレルギー科の栗原和幸氏は、「食物アレルギーの積極的治療の可能性」という題で安易な食物除去の指導は食物アレルギーを悪化させる危険性も考えられると言っています。そしてアレルゲンとなる食物を積極的に摂取して食物アレルギーを治療する試みを紹介しています。

  それを可能にしているのが経口免疫寛容という現象で、異種タンパクを注射する前に経口で投与しておくと、注射後の反応を軽減できるという動物実験結果で明らかになったことです。 ヒトの食物アレルギーでは動物実験の結果をそのまま応用できませんが、その原理を基に食べて治すという試みが増えて来ました。しかし食物アレルギーではアナフィラキシーという重篤で命にかかわる反応を起こすことがありますので、自宅で自己流に食べて治そうということは危険です。現在まだまだ検討段階の試みと言えますので、誰にいつ頃どのように治療するのが適切なのか、慎重に対処していくべきと思います。とにかく主治医の指示により、場合によっては入院の上慎重に行う治療です。

  血液や皮膚を用いたアレルギー検査の結果を根拠にした場合、必要以上に食物除去をしてしまう可能性があり、さらに過剰な除去により食物アレルギーの予後を悪化させているかもしれません。この分野では1日でも早くさらに適切な治療が確立されるよう期待したいところです。

  (K・N)

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平成22年12月1日 発行

  風邪かと思ったら…

  皆様はどのような症状を自覚すると、風邪かな?と感じられるでしょうか。
悪寒、発熱、倦怠感、のどの痛み、鼻水、咳、声枯れ、頭痛、嘔吐、下痢など様々な症状の組み合わせだろうと思います。のどの痛み一つをとっても、鼻の奥のヒリヒリ感、ツバを飲み込む時の痛み、イガイガ感、時には食事も摂れないほどの痛みだったり、人それぞれ症状に違いがあります。私たち医師は、それらの症状や診察した所見から、どのような状態かを判断し治療を行います。この時に重要なことは、風邪のような症状の陰に重大な疾患が隠れていないかどうか、あるいは風邪によって持病を悪化させ重篤な状態に陥らないように見極めるということです。

  風邪は、ほとんどの場合、無理せず過ごしていれば自然に治癒します。しかし、基礎疾患があったり、免疫力が低下していたりする場合は注意が必要です。耳鼻咽喉科には、内科や小児科で風邪の薬を処方してもらってだいたい治ったのだけれども、鼻水だけが残っているとか咳だけが続いているといった方がよくみえられます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が基礎疾患としてある方は耳鼻科的な処置や投薬で改善します。また声がかすれてしまう方は喉頭の診察が必要な場合もあり、やはり耳鼻科的な検査が必要です。しかし一般的な風邪症状に対する初期治療は、どの診療科でもさほどかわらないと思われます。持病がある方は、まずはかかりつけ医に相談することをおすすめします。

  昨年は新型インフルエンザ(H1N1)騒動がありました。インフルエンザもウイルス感染症なので大きな意味では風邪と言えなくもないのですが、その感染力や致死率はいわゆる風邪とは違います。目黒区では今年9月にH1N1インフルエンザによる学級閉鎖が一部でありましたが、今のところ拡大している様子はないようです。本来インフルエンザがみられない季節にも散発ながら感染が確認されるということは、今後流行が拡大する可能性もあるかと思います。すでに北海道・沖縄でははやり始めたとのことで、昨年のH1N1型だけでなく、H8型(A香港型)もみられるとのことです。皆様も是非インフルエンザの予防接種を受けて下さい。

  昔から風邪は万病のもとと言われていますが、医学が発展した現代でもかわることはありません。風邪かも、と思ったらご自分の体とよく相談をしてください。仕事が忙しく休んでいられないとおっしゃる方もいるでしょう。しかし、さらに悪化させて長期間休むことになったり他の方にうつしてしまったりすれば、個人の損失だけでなく社会的な損失も拡大してしまい、多くの方に迷惑をかけることになります。

  十分な休養やマスクや手洗いはインフルエンザの時だけではありませんよ。

  (T・Y)

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