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平成22年6月号 大腸がん検診を受診しましょう
平成22年4月号 春に多いうつ病の話
平成22年2月号 子宮頸がん予防ワクチン
  平成21年12月号 日本の乳幼児にもヒブワクチンを
  平成21年10月号 最近多い?「過活動膀胱」
  平成21年8月号 慢性腎臓病(CKD)が注目されています
  平成21年6月号 眼科検診が始まります!
  平成21年4月号 目黒区は出生率ワースト1
   
 
 
 


この小さな新聞は目黒区民と医師を結ぶ心のかけはしです。
いろいろなご意見やご希望をおよせください。
〒152-0004 東京都目黒区鷹番2丁目6番7号 TEL:03-3714-2101(代表) FAX:03-3714-2106



平成22年6月1日 発行

  大腸がん検診を受診しましょう

  食物繊維が少なく、脂肪分の多い欧米型の食事が広まるのにともない、わが国でも大腸がんにかかる人が急増しています。最近の統計では、大腸がんは男性では胃がんに次いで第二位に、女性では乳がんより多く第一位にランクされています。

  大腸がんは早期がんの段階では自覚症状がありません。腹が痛む、便秘と下痢をくりかえす、便に血が混じるなどの症状が出てからでは、進行がんの状態で見つかることが少なくありません。自覚症状のない時点で検査(検診)を受けていただくことによって早期がんの段階で大腸がんを発見することができるのです。

  目黒区では6月1日から11月30日までの期間、特定健診と同時に大腸がん検診を実施しています。便の検体を二回提出していただき、その中に血液が含まれているかどうかを検査します(便潜血反応検査)二回の検査のうち一回でも潜血反応が陽性になると「要精密検査」と判定し、大腸内視鏡検査または注腸レントゲン検査を受診するようお勧めしています。便の中に血液が含まれている場合には、大腸に何らかの病変がある可能性が高いからです。

 大腸がん検診は無料ですが、大腸の精密検査は有料(保険診療)となります。約2リットルの腸内洗浄液を飲んでいただき、大腸の内容物をきれいに洗い出し、内視鏡またはレントゲン検査で病変の有無を検査します。

 大腸内視鏡検査では、検査中にポリープなどの病変が見つかった場合、その場で組織検査の検体を採取したり、ポリープ(早期がんを含む)を切除することができます。通常は外来通院で検査を受けられますが、大きなポリープを切除した場合や75歳以上の高齢者では、検査後の合併症の有無を確認するため、一泊入院が必要となることもあります。

 目黒区では平成20年度に大腸がん検診を33655名の方が受診され、2333名(6.9%)が便潜血反応陽性で、「要精密度検査」と判断されました。このうち、771名(33.0%)の方が精密検査を受診され、47名(精密検診受診者の6.1%)の方から大腸がんが発見されました。

 すなわち、大腸がん検診で「要精密検査」と判定されても、大腸がんが発見される確率は6%に過ぎず、94%の方は良性疾患もしくは異常なしと判定されています。ご自分が大腸がんにかかっていないことを確認する意味で精密検査を受けると考えても良いでしょう。

 逆に、「要精密検査」と判定されながら、1562名(67.0%)の方は精密検査を受診していません。この方達の中からも同じ確率で大腸がんが見つかるはずであり、ほぼ100名の大腸がんが発見されないまま見過ごされている可能性があります。

 大腸がんは早期がんの状態で発見できれば、内視鏡による切除だけで治癒ができます。進行がんの状態で見つかったとしても、肝臓などへの転移がなければ、手術を受けることで高率に治癒が期待できます。あなた、もしくは、あなたの大切な人を大腸がんで失わないために、大腸がん検診を積極的に受診し、「要精密検査」と判定された場合には、ためらわずに大腸の精密検査を受けていただくことをお進めします。

  (H・Y)

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平成22年4月1日 発行

  春に多いうつ病の話

  春と言えば皆さまは何をイメージされるでしょうか?日照時間が長くなり明るく感じられるようになり、ライフイベントでは新しい生活環境へ変化された方も多いかと思います。実はこの周囲の変化に対して、気持ちの切りかえのスピードが追いつかないと、めまい、頭痛、吐き気など自律神経の乱れによる症状が表れ、悪化するとおっくうな気持ちが強くなり、抑うつ症状が強く出るのが春に特徴的なうつ病の所見になります。チェックリストを用意しましたので、どうぞお試しください。

  OL・ワーキングウーマン

 □ 朝、メークするのが面倒

 □ 洋服や髪型など、おしゃれに無関心になった

 □ ランチを食べる気にならない

 □ 休日、友人と遊んだり、ショッピングをしてもつまらない

 □ 理由もなくイライラする

 □ ちょっとしたことで、涙がでてしまう

   ビジネスマン

 □ 朝、新聞を読む気がしない、読んでも上滑りしてしまう。

 □ 仕事の能率が落ちた

 □ 仕事でのちょっととした決断ができない

 □ つまらないミスが増えた

 □ 飲みに行く気になれない

 □ 休みはとにかくゴロゴロしていたい

 □ 身の置きどころがないようで落ち着かない

 □ 寝つきがわるい

  主婦

 □ 朝、家族が起きても寝ている

 □ 以前は午前中で終わっていた家事が、夕方までかかる、または終わらない

 □ 家事がつらい

 □ 夕食のメニューを決められない

 □ 季節の変わり目に、めまい、頭痛、肩こりで悩むことが多い

 □ 近所の人が集まっていると、自分の悪口を言われているような気がする

 □ 自分はダメな母親、妻だと思ってしまう

  高齢者

 □ 病気ではないか、お金がなくなるのではないかと、健康や金銭に関して実際以上に心配してしまう

 □ 肩や腰、膝等が痛いが、整形外科に行っても異常ないといわれてしまう

 □ 言いようのない不安や焦りがあって、いても立ってもいられない感じになる

 □ 悲しい、早くお迎えがこないかと、周囲にこぼすようになった

 □ 物忘れがひどくなった気がする

  チェックリストで2〜3個当てはまる方は要注意です。

  うつ病からの回復をうまく形容した言葉に「三寒四温」があります。冬から春にかけて徐々に暖かくなる天候を現した言葉で、3日寒くても4日暖かくなり、そしていつしか春になるという意味です。冬の寒さをうつ病の症状に例え、じっと寒さを堪え、日々を過ごす、日が経つにつれ暖かくなる、時に寒い日へ戻っても、長い目で見れば確実に暖かくなり、春を迎えるということです。

   近頃で昔に比べると副作用が少なく効果的な治療薬が増えています。薬だけではなく一緒に生活を見直したり、アドバイスをすることも精神科の治療です。「早く治そう」「治されければ」と考えず、ゆっくり構えることが治癒への近道です。

   お心当たりのある方は、是非お近くの精神科へご相談してみてはいかがでしょうか?

  (T・E)

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平成22年2月1日 発行

   子宮頸がん予防ワクチン

   子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、遺伝とは関係なく女性なら誰でもなる可能性があります。女性のがんの中では乳がんについで死亡原因の二位であり、最近は20代から30代の若い女性で増えてきています。

 子宮頸がんは定期的に検診を受けていれば、がんになる前あるいはがんの早期に発見・治療ができるので、目黒区でも20歳からがん検診を受けられるようになっています。

   子宮頸がんの原因は?

   子宮頸がんはほとんどがHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染によって起こります。HPVは性交渉で感染するとされていますが、特別なものではなく、80%以上のひとが一生に一度以上、かかるものです。HPVには100以上のタイプがありますが、がんを起こしやすいハイリスクの発がん型は15種類ほどあり、特に16型と18型が多くみられます。ウイルス感染が原因ですから、インフルエンザなどのようにワクチンで予防することができます。日本でも16型と18型に対するワクチンが昨年承認され、予防接種ができるようになりました。海外ではすでに100カ国以上、200万人以上に接種されています。

   ワクチンはいつ誰に接種するの?

   10歳以上の女性ならだれでも接種できます。海外では11〜12歳で接種することが多く、ヨーロッパやオーストラリアなど国中で推進しているところも少なくありません。初回・1ヵ月後・6ヵ月後の3回接種することで十分な予防効果がえられます。効果は現在のところ5年以上は続くことがわかっていますが、それ以降については今後の報告によります。

   副作用は?

  麻疹やインフルエンザなどのワクチンとおなじ程度とされています。注射した部分の腫れや痛みが起こることがありますが、普通は数日でおさまります。まれに重いアレルギー反応が起こることがあるので、接種する際には医師の指示に従ってください。

   ワクチンを接種したらがん検診は受けなくてもいい?

  このワクチンは発がん型HPVの16型と18型の感染を予防するもので、その他の発がん型HPVに対する予防効果は期待できません。子宮がん検診は定期的に受けましょう。すでに検診で精密検査をするようにいわれている方たちは、ワクチンを接種しても治療効果はありませんが悪くなることもありません。どちらかの型にかかっていても、もう一方の型に対しての予防のためにワクチンを接種するのもよいでしょう。

  (Y・M)

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平成21年12月1日 発行

   日本の乳幼児にもヒブワクチンを!

   1998年3月にWHOが、ヒブワクチンの乳児への定期接種を勧告してから、10年後の2008年12月19日、日本の子どもも、遂にヒブワクチンを受けられるようになりました。既に90ヶ国以上定期接種プログラムに組み込まれ、乳幼児を重篤な細菌性髄膜炎から守っているワクチンです。

   細菌性髄膜炎とは?

   細菌性髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜の細菌感染症です。約6割はインフルエンザ菌b型(Hib・ヒブ)、約3割は肺炎球菌が原因です。子どもたちに時々見られる菌です。高熱、頭痛、嘔吐など、普通のかぜと同じ症状で始まることが多く、早期診断は容易ではありません。急激に進行することも多い病気です。

   インフルエンザ菌b型(Hib・ヒブ)とは

  現在大流行中の新型インフルエンザと名前が似ていますが、全く異なる病原体です。  新型インフルエンザは、H1N1インフルエンザウィルスが原因ですが、ヒブは細菌です。1832年、インフルエンザが大流行した時患者の痰から見つかった菌なので、インフルエンザ菌という名前になりました。後にインフルエンザはウィルスでおこる病気であることが判明しました。インフルエンザ菌には、莢 膜という外側の膜を有する菌と、有しない菌があります。莢膜にはa〜fの6種類の型があり、bを有しているものが、インフルエンザ菌b型(ヒブ)です。これは病原性が強く、5才未満、特に2才未満の乳幼児に重篤な細菌性髄膜炎、敗血症、骨髄炎などをおこします。幼い子どもは莢膜に対する抗体を作れないのです。年間1000人位の子どもが罹り、髄膜炎のため5%位が死亡、20%位が後遺症を残しています。これは大変な事で、何とかせねばなりません。

   ヒブワクチンをすべての子どもに!

  約20年前、ヒブワクチンを導入したフィンランドでは、数年後ヒブによる重症感染症がほぼ0になりました。生後2ヶ月でヒブワクチンを開始している多くの国でも、ヒブによる病気は稀なものになっています。昨年に12月より日本で使用されているワクチンは、既に世界で約1億5000万回接種されたもので、重大な副反応報告がないという、安全な予防接種です。保育園不足が叫ばれ、今後ますます産休明け保育が増加する現在、ヒブの保菌者が2〜5%存在する事実を考慮すると、大切な乳幼児の健康を守るため、すべての赤ちゃんに適切にヒブワクチン接種をすることは、日本において最も重要な保健対策です。ただ全く残念な事に、ヒブワクチンは大変な品不足状況にあります。申し込んでから接種が可能になるまで4〜6ヶ月も待たねばなりません。この間ヒブ髄膜炎に罹患してしまった赤ちゃんがいます。一日でも早くヒブワクチンを打ちたいと日本中で小児科医が願っています。

  (O・K)

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平成21年10月1日 発行

   「過活動膀胱」って何?どんな症状?

   過活動膀胱とは、突然おしっこがしたくなり、もれそうになる感じ(尿意切迫感といいます)を起こす病気です。英語でOveractive BladderといわれるためOABともいわれます。「過剰に活発な膀胱」、「活発すぎる膀胱」という意味です。二〇〇二年頃より国際学会で定義され、こう呼ばれるようになりました。 症状の中心は「尿意切迫感」であり、「おしっこがしたいと感じてからトイレに行くまで我慢できない!」というようなとき、過活動膀胱の疑いがあります。また頻尿(目安として起きている間8回以上、夜間1回以上)も伴うことが多く、さらに症状が強いと、我慢できずにおしっこをもらしてしまう(切迫性尿失禁)こともあります。このような症状があると、生活に何かと不便で、外出や旅行も控えがちになり、生活の質を落とします。

   過活動膀胱にはどうしてなるの?

  主な原因は、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に排尿を始めようと収縮してしまうことです。膀胱がうまくコントロールできなくなるのです。その症状を引き起こす要因は、脳血管障害などの神経疾患、男性では前立腺肥大症、女性では骨盤底の筋肉のゆるみなどがあげられます。例えば脳や脊髄にトラブルがあると、膀胱の神経が思ったように働かなくなることがありますし、前立腺肥大がある人は、狭くなった尿道に尿を押し出そうとして膀胱に負担がかかり、それが原因となって膀胱がコントロールしにくくなります。また出産経験のある人や肥満気味の人では骨盤が下がりぎみになり、これが原因となることもあります。しかしこれといった原因がない場合も多くあります。ただし、細菌性膀胱炎や尿道炎などの感染症、膀胱癌・前立腺癌などの骨盤臓器癌が原因のものは除外します。 最近の調査では、過活動膀胱の症状がある人は40歳以上の12.4%にもなり、そのうちの半数くらいの人では尿もれもあります。症状のある人の割合は年齢があがるにつれて増え、80歳以上では40%くらいにもなるようです。

   過活動膀胱の診断にはどんな検査をするの?

  過活動膀胱を診断するためには、尿意切迫を特徴とする主訴・症状を問診やアンケートなどで確認することがもっとも重要です。検査はほかの病気(骨盤内臓器の癌や尿路感染、尿路結石など)がないことを確認するために行われますが、大変な検査や痛い侵襲的な検査は通常は必要ありません。基本的には尿検査と超音波検査が必須です。

   過活動膀胱の治療ってどんなものがあるの?

  過活動膀胱には、抗コリン薬という薬剤、つまり尿意と膀胱の収縮を抑える作用の薬を飲むことでかなり改善できます。まれに口が渇く、便秘、めまいなどの副作用が出る場合がありますが、ここ数年で出たたくさんの新しい薬では副作用の頻度はかなり少なくなっています。ただしこの系統の薬剤で尿意と膀胱の収縮を抑えると、排尿後の残尿が多くなることや尿の勢いが弱くなることがあるため、泌尿器科専門医の下で定期的にチェックすることが必要です。

   生活の注意点は?

  症状を改善するには、まずセルフケアも大切です。水分は摂取の目安を1日1〜2リットルとして夜の過剰摂取は抑えましょう。ただし水分を控えすぎるのはよくありません。カフェインやアルコールを含む飲み物などは症状を悪化させるので、できるだけ控えましょう。多くの方に共通するのは冬場の冷えがとくに増悪させるので、下半身を腹巻き、ひざかけやカイロなどを使って保温に努めることです。また過労やストレスもよくないですし、便秘によりトイレでいきむことなども症状を悪化させるので注意が必要です。 尿意切迫や尿漏れは「もう年だから仕方ない」といってあきらめないで、泌尿器科やかかりつけ医を受診してみて下さい。必ず生活の質は改善するはずです。

  (O・K)

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平成21年8月3日 発行

   慢性腎臓病(CKD)とは「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」、もしくは「腎機能低下」が3か月以上続く状態をいいます。最近CKDに対する取り組みがわが国を含め、全世界的に進んでいることをご存知ですか?

   CKDが注目されている3つの理由

   ひとつは、日本におけるCKDの患者数は1330万人、実に人口の12.9%と推定されており、膨大な数の患者が存在する事が明らかになったことです。またCKDが進行すると透析や移植が必要になる場合があります。慢性透析患者数は年々増加しており2008年末には28.3万人に及び、この数は日本人の460人に一人が透析治療を受けているということになります。

   二つ目は、CKDは比較的早期から脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患を発症する確率や死亡率が上昇することが明らかになったことです。このことより健康を脅かす重要な疾患群だと考えられるようになりました。

   三つ目は、CKDの治療が可能になってきたことです。「厳格な降圧療法」「尿蛋白の減少を図る」など、今ある治療法を十分活用した治療を行えば、腎機能の悪化や心血管疾患の発症を抑制できることが分かりました。

   早期診断のためには

   CKDの症状は易疲労感、倦怠感、食欲不振、嘔気、浮腫などですが、これらの症状は病気がかなり進行してから出現しますが、初期には自覚症状はありません。一般的には腎機能が低下する前から蛋白尿をきたすため、CKDを早期に発見するには尿検査が有効です。特に糖尿病による腎障害の早期発見には微量アルブミン尿検査が重要です。

   治療のポイント

   CKDと判断されたら原因疾患の検索を行います。また血液検査を行い、血清クレアチニン値を用いた推算式(eGFR)により腎機能を評価します。それをもとに病期を5段階に分類し診療計画を決定します。治療のポイントについては以下の通りです。

@生活習慣の改善

禁煙。メタボリックシンドロームなどの内臓脂肪が蓄積する腹部肥満では、蛋白尿や腎機能低下をきたしやすく、CKDの発症と深く関係していることが報告されており、肥満の是正が必要です。

A食事指導

減塩(食塩摂取量6g/日未満)、蛋白制限(必要に応じて)

B高血圧治療

降圧目標は130/80mmHg未満。降圧剤は腎保護効果、尿蛋白減少効果が確認されているACE阻害薬かARBが第一選択薬として推奨されています。

C糖尿病、耐糖能以上の治療

厳格な血糖コントロールにより糖尿病性腎症の進展を抑制できることが明らかにされています。

D脂質異常症の治療

脂質異常症の治療により尿蛋白の減少と腎機能低下抑制が期待できます。LDLコレステロールは120mg/dl未満(可能であれば100mg/dl未満)にコントロールすることが重要です。脂質異常症治療薬であるスタチンには、蛋白尿や微量アルブミン尿を減少させる効果が示されており尿蛋白を伴うCKDでは積極的な仕様が推奨されています。

E貧血の治療

CKDが進行すると腎臓で造血ホルモン産生が低下するため貧血になります。貧血が進行したらエリスロポイエチンという造血ホルモン剤の注射を定期的に行います。

   CKDを予防するために

   早期にCKDを発見して、適切な治療を行えば、病気の進行を食い止めることができます。年に一回は健診を受けて、尿蛋白などの異常を認めたら必ずかかりつけ医に相談しましょう。また糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧などの生活習慣病に関連するCKDが多く見られるため、食事指導、生活指導による生活習慣の改善や、必要に応じて治療をおこなうことがCKDの予防に大切です。

  (T・S)

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平成21年6月1日 発行

  今年から眼科検診が始まります。今までは内科検診で、高血圧や、糖尿病、高脂血症などが見つかり、内科の先生からの紹介で、眼科検診を実施しておりましたが、今年からは、眼科独自でできることになりました。
   眼科検診が必要な理由は、40歳を過ぎた頃から、白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症などや、高血圧性眼底、糖尿病性網膜症など基礎疾患から発症する眼底病変により、就業年齢にもかかわらず、失明する可能性が高くなってきているからです。それらの疾患の早期発見、早期治療を開始するためにも、眼科検診の必要性は高まっているのです。
   検診の対象年齢は、今年は40歳から65歳までの5歳間隔の節目の方々です。
   検診項目は、必須項目と任意項目の8項目で、すべて両眼につき実施します。

   検査方法

@問診 自覚症状、既往歴、家族歴などを聞きます。

A屈折検査 自覚的または、他覚的屈折検査法で、屈折度を検査します。

B矯正視力検査 屈折検査に基づき、裸眼又は眼鏡等を使用している場合は矯正視力を検査します。
   矯正視力はすべての疾患で重要な数字です。眼にどんな変化が起こっても、矯正視力が低下することが多いからです。

C細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部) 細隙燈顕微鏡を用いて、角結膜、前房、虹彩、水晶体等を観察します。
   主に眼の前の方を観察し、角膜炎、結膜炎、虹彩炎、白内障等がないか調べます。

D精密眼圧検査 眼圧計を用い眼圧を測定します。

E精密眼底検査 散瞳(瞳孔を広げること)が可能か確認し、視神経乳頭及びその周囲組織を観察します。
   Cの部位より奥の視神経乳頭や網膜、硝子体等に異常がないか観察します。

F眼底カメラ撮影(フィルム及び現像を含む) 眼底撮影用カメラを用いて視神経乳頭を中心とした眼底を撮影します。

G前房隅角検査 隅角鏡を用いて隅角を構成する各部位及び前房深度を観察します。
   @からEが必須項目で、FGは、医師が必要と認めたときに検査します。
   白内障、緑内障、黄斑変性症とは、どんな病気でしょう。

白内障
  水晶体は、透明なたんぱく質と水でできていますが、このたんぱく質が、何らかの原因で変性して白く濁り、ものが見えにくくなる病気を白内障といいます。症状は、まぶしい、明るい場所でものが見えにくい。目がかすむ、ぼやける。細かい字が見えにくい。眼鏡が合わなくなった、などです。原因のなかで最も多いのは加齢です。初期の治療は点眼薬を用います。点眼薬では濁った水晶体を元に戻すことはできませんが、進行をおさえることができます。日常生活に支障をきたすようならば手術を行います。

緑内障
   視神経の束が眼球から脳に向かって出て行く部位(視神経乳頭部)が傷害される病気が緑内障です。視神経乳頭部が傷害されると、視野が欠ける(視野欠損)という症状が現れますが、初期にはほとんど異常に気づきません。眼圧がとても高くなると、眼の痛み、疲れ、頭痛のほか、光の周りに虹が見える、という症状が現れることもあります。治療は、タイプや時期により点眼薬、手術など、異なります。

黄斑変性症
   黄斑変性症は、視野の中心部がゆがんで見えたり、暗くなったりする病気です。網膜は眼底の一番内側にある膜で、無数の視細胞から成っています。網膜で最もものを見る機能が優れている部分が黄斑です。黄斑変性症は、個人差はありますが、比較的進行の早い病気です。このため、早期発見と早期治療が非常に大切です。
   是非この機会を利用して検診を積極的に受けることをお勧めします。

  (M・N)

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平成21年4月1日 発行

   一人の女性が生涯に産む平均の子供数(合計特殊出産率)を市区町村別にみると、目黒区が全国最低で0.74であることが、厚生労働省がまとめた2003〜2007年の人口動態統計特殊報告で明らかとなりました。

   どうしてこのような結果になってしまったのでしょうか?

   目黒区は本当に女性が産みにくい地域なのでしょうか。地方出身の一人暮らしの女性が多いという地域特異性があると言われていますが、このままでは子供のいない老人ばかりの町になってしまうのかと住人の一人として安閑としてはいられない気持ちになってしまいます。

   とはいえ出産数そのものが減少し、少子化社会となる状況は日本中どこでも変わりはありません。晩婚化により初産妊婦は20歳代が減少し、30歳代が増加の一途をたどっています。この傾向は生殖補助医療妊娠の増加と共にハイリスク妊娠の増加に拍車をかけることになっています。今の時代、こうした妊婦・胎児を守るため何らかの公的なバックアップはどうしても必要なのです。その中で今回は目黒区で行われている公的負担妊婦健康診査についての情報を提供いたします。

   妊婦健康診査(妊婦健診)の重要性

   妊婦健康診査は妊娠中の母児の健康管理を行うもので日本における普及率の高さは世界でも類をみないといわれています。実際に妊婦健診を受けている妊産婦と受けていない妊産婦を比べると死産率で2〜4倍、周産期死亡率で8〜15倍の差がでるのです。このような妊産婦の予後の違いから妊産婦健康診査が大変重要ということになります。

   妊婦健康診査の経済的負担を大幅に軽減

   ところで妊婦健診の受診回数ですが、大体平均14回位ですべて自費支払いが基本となるため、妊婦への経済的負担はかなり高いといえます。そこで各地方自治体から公的に妊婦健診を支援する目的で受領票というものが母子手帳交付時に一緒に交付されます。受領票は記載された問診・診察・検査・指導の対価を一定額で公的に支援する診察券です。その受領票の枚数や各種制限などは各地方自治体によりかなり異なります。従来、目黒区では妊婦健診に対して受領票枚数は3枚で妊婦前期に1回、後期に1回、35歳以上妊娠の超音波検査1回だけでしたが、平成20年4月から最大14回分妊娠健診受領票(1回5,000円〜8,500円分)と、年齢に関係なく超音波検査が1回受けられる受領票が交付されるようになりました。そのため妊婦さんは妊婦健診の際、妊婦健診代(各施設にて異なる)から受領票分を引いた差額だけを支払うことになり、妊婦健診全体で最大78,800円の経済支援を受けることができるわけです。

   フリーアクセスと里帰り等による妊婦健康診査の助成

   この受領票は目黒区内だけでなく東京都内(原則都外は不可)で当該受領票を扱う700以上の受託医療施設で使用することができます。

   また里帰り等により都外の医療機関で妊婦健康診査を受けられた場合でもその費用の一部を助成してくれます(未使用の受領票と領収書が必要)。

   出生率を上げるためには妊娠・出産・育児すべての面で安心して産める環境作りが大事です。具体的には妊婦健診や妊婦救急・分娩受け入れ先の確保、産後の支援としての保育園の拡充など根本的な問題点は山積しているのは事実です。こうした受領票による公的サービスだけで出生率増加に即つながるとは思いませんが、こうした情報がこれから妊娠・分娩をしたいと考えているご婦人の背中をちょっと押すことになったらいいなと思います。

  (J・T)

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